新NISA開始後、オルカン・S&P500を上回った最強インデックス 

新NISAが始まってからおよそ2年半が経ちました。今回は、新NISA開始後にもっとも成績が良かったインデックスは何なのかというテーマで取り上げていきます。なお、金(ゴールド)は今回の比較対象からは外し、あくまで株式インデックスに絞って見ていきます。世界株式もあれば日本株式もある中で、ランキング形式で紹介していきます。

多くの人がオールカントリー・ワールドインデックス、いわゆるオルカンに投資している現状があるため、オルカンを上回った上位4つのインデックスを紹介し、そのあとであらためて比較や考察をしていきます。

新NISA開始2024年1月から比較(1:22)

比較の起点は2024年1月、新NISAが始まったタイミングです。会員の多くもちょうどこの時期から投資を始めたケースが非常に多く、会員限定のオフ会に参加する人もこのあたりから始めた人が目立ちます。それ以前からの付き合いがある人も多くいますが、初めて会う人に関してはこの時期から投資を始めた人が多い印象です。

オール・カントリー(2:06)

まず基準となるのがオールカントリー、eMAXIS Slim全世界株式です。騰落率はプラス78.92%でした。2年半でこの数字はとんでもない伸びで、逆に少し怖さを感じるほどです。実際、この上昇を見て利益確定したい、あるいは他の商品に乗り換えたいと考える人も増えています。そして、このオルカンをもってしても勝てなかったインデックスがいくつか存在します。

S&P500(2:53)

次に紹介するのはアメリカ最強と言われるS&P500です。2025年に入ってからはオルカンの方がS&P500を上回る場面もありましたが、2024年からの比較で見るとまだS&P500がわずかに優位を保っています。騰落率はプラス80.69%で、オルカンとの差は2%に届かないほどの僅差です。ほとんど誤差の範囲と言ってよく、どちらも十分に優秀な結果を残していると言えます

日経平均(3:40)

その次に紹介するのは日経平均です。eMAXIS Slim国内株式、日経平均に連動する商品の騰落率はプラス92.04%となり、S&P500にかなり近い水準からさらに一歩抜け出す結果になりましたかつて「オワコン」とまで言われた日本株が、ここまでの成績を残しているのは感慨深いものがあります。25年ほど日本株に投資を続けてきた身としては、なぜいまだに日本株に投資しているのかと聞かれ続けてきましたが、こうして結果が出ると、自分自身の相場観などその程度しか当たらないものだと痛感させられます

MSCI エマージング(新興国株式)(4:32)

そして日経平均をも上回り、今回もっとも成績が良かったのが新興国株式です。eMAXIS Slim新興国株式インデックスの騰落率はプラス98.20%と、ほぼ100%に迫る伸びを見せました新NISAが始まった当時はまだ米国優位論が根強く語られていましたが、蓋を開けてみれば新興国がもっとも伸びたインデックスになったわけです。

長年アセットアロケーション運用を見ていると、各資産の相関関係から、米国が調子を崩し始めたタイミングで次にどこが伸びてくるかは、ある程度予測がつくようになります。実際、リーマンショック前も新興国は大きく上昇していましたが、当時はJ-REITの動きの方がさらに激しく、2003年頃の底値から2007年頃までのわずか4年ほどでJ-REITは6倍近くまで上昇した経験があります。今回の98%という伸びも、こうした過去の値動きと比べればまだまだ序章に過ぎない可能性を感じさせます。

新興国株式は、先進国が風邪を引いたときに頼りになる存在になりやすく、実際リーマンショック後の12年ほどは、新興国の比率を高めに持った運用の方が利益が出ていた時期がありました。新興国の比率を高めに保っておくことで、相場が回復する際のスピードを取り込める場面があり、こうした資産の値動きの傾向は、長年分散投資を続けて観察してきたからこそ見えてくるものです。

資産を攻めに使うときも守りに使うときも、こうした知見を活かして配分を調整していくわけですが、投資経験や分析の蓄積がなければ使いこなすのは簡単ではありません。1つの資産に集中して当てるのではなく分散する形にならざるを得ない以上、どの資産にどれだけの割合を配分するかという判断は非常に難しく、個人で実践するのはなかなか骨が折れる作業だと思います。

10年間では?(7:41)

出典:Trading View

ここまでは2024年からの2年半の比較でしたが、視点を変えて10年前から投資していた場合はどうだったのかも見てみます。すべて円建てで表示したグラフで比較すると、トップに来るのはVOO、つまりS&P500に相当する資産です。一方でもっとも成績が振るわなかったのは新興国株式で、直近2年半の順位とは完全に逆転する結果になっています。新興国株式は資産を大きく伸ばす局面とそうでない局面の差が激しいという特徴を持っています。

グラフを見ると、コロナショックが起きるまでの期間はグローバル経済と呼ばれる時代で、新興国の生産力や安い労働力を背景に世界へ供給していく構図があり、世界全体がデフレ、あるいはディスインフレ気味の中で比較的安定していた時期でした。この時期は新興国の経済的な立ち位置が安定しており、新興国が市場全体を牽引していた側面があります。しかし、コロナショックのような大きな衝撃を受けたあとの回復力という点では、新興国よりも先進国、とりわけ米国の強さが際立ちました。

これは大規模な財政出動によってばらまかれた資金がどこに投資されるかを考えたとき、コロナ後の投資先として米国が選ばれやすかったことが背景にあります。2021年に入った頃から米国とそれ以外の資産の差がはっきりと開き始め、ここ5年はまさに米国の時代だったと言えます。オルカンの成績が良かったのも、この米国の強さに引っ張られた結果と考えられます。

円建てに直さずドル建てと円建てが混在したままの状態で各市場そのものの勢いを比較したグラフも見てみます。10年前からの比較で見ると、やはりトップは米国株式です。ただ、日本市場も想像以上に強く、新興国株式を上回る成績を残しています。新興国はまだまだ本調子とは言えない状況ですが、日本市場も決して負けていない強さを見せていることが、騰落率だけを見ても分かります。海外から見た日経平均の上昇というのは、それだけ際立って見えているはずです。

10年前と比べると市場を取り巻く景色はまったく変わっており、それぞれの資産が持つ潜在力や長期的な力、そして時代ごとに活躍する資産が異なるということが、こうして振り返ることで見えてきます。

結局どこが伸びるかわからない(11:17)

ここまで紹介してきた内容の趣旨は、米国が良いとか新興国が良いとか、あるいは日本株の方が優れているから日本株に投資すべきとか、逆に米国はまだ下がってきたもののまだまだ伸びるといった、特定の資産を推奨したいわけではまったくありません。結局のところ、どこが伸びるかは誰にも分からないというのが結論です

1つ1つの資産についてこうして検証はしていますが、実際にはそのすべてを保有しているというのが実情です。全部買っていれば、どの資産が上がっても気分が良く、どこかが儲かれば自分も恩恵を受けられます。これはいわば総合力で勝負しているということであり、当然ながら1つの資産に集中した場合に比べれば、個々の資産の伸びは平均化されて薄まってしまいます。ただ、資産全体に占める比率が低ければ、伸び悩んだとしても資産全体への影響はそれほど大きくありません。

それでも、買おうかどうか迷った末に見送った資産が大きく伸びたときの取り逃した感覚は非常に大きく、「やっておけば良かった」という感情は投資においてよくあるものです。だからこそ、たとえわずかでも持っておくという考え方が投資の世界では重視されます。結果的に「もう少し買っておけば良かった」と思うことがあったとしても、まったく持たずに取り逃してしまったときの後悔に比べれば、少しでも保有していたという事実がその感情を和らげてくれます。

大切なのは負けないこと(12:46)

投資で資産を増やすために本当に大切なのは、大きく儲けられる資産を見つけることではなく、負けないこと、つまり市場に居続けることだと考えています。負けずに市場に居続けるためには、分散投資が欠かせません。分散投資には、複数のアセットに資産を分散するという意味と、投資するタイミングを分散するという時間分散の意味の両方があり、どちらも非常に重要です。

特に新NISAが始まった2024年から投資を開始した人の多くは、投資初心者だったはずです。たまたま最初に購入した時期が良かったために利益が出ている状態だと言えますが、この状況が今後もずっと続く保証はどこにもありません。そう考えると今のうちに利益を確定させたいという気持ちも理解できますが、実際に行動を起こした途端に相場が下落する可能性もあるため、こればかりは蓋を開けてみないことには分かりません。

もちろん、集中投資や一括投資をその醍醐味として楽しむこと自体は何も問題ありません。ただ、安定的に資産を形成したい、あるいは長く市場で生き残りたいと考えるのであれば、資産分散と時間分散を意識することがとても大切になります。そうすることで相場に居続けることができ、結果としてその恩恵を受け取ることができます。

仮に100%のリターンがあったとしても、資産の一部としてその商品を保有していれば、その恩恵はきちんと享受できているということになります。こうした考え方を積み重ねた先にあるのが、資産形成においてもっとも有効な方法とも言えるアセットアロケーション運用です。日本人が実践しやすい形で、かつ今購入できる商品を使いながら、時代に即したバランス配分を紹介しているのが、このマネーセンスカレッジという場になります。

またこちらの動画「20代NISA貧乏?若者はNISA1,800万円使い切る必要なし。目標積立額を公開」では、新NISAを無理に満額にせず積立額を逆算する考え方を解説していますのでぜひご覧ください。

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