積立金額別、投資で変わる未来 

毎月の積立額によって将来の資産がどこまで増えるのかシミュレーションしてみました。今回は毎月1万円、3万円、5万円、10万円、15万円、30万円という6つのパターンについて、10年、20年、30年続けた場合にどうなるかを比較しています。

以前にも似た企画を行いましたが、NISAの非課税枠である1800万円という上限を意識した内容でした。今回はその枠を気にせず、単純に積立額と期間によって資産がどう変化するかを見ていきます。

年齢別毎月積立額シミュレーション(1:19)

まず、今回使用する表の見方について説明しておきます。計算は年利5%で行っています推奨しているオールカントリー型の全世界投資では期待利回り7%を目指していますが、実際の表示金額はそこからインフレ分を差し引いた実質的な価値で示したほうが分かりやすいと考え、5%に設定しました。内訳としては、インフレによる目減りを1.5%ほど、そして値動きのある商品特有の中央値の低下、いわゆるボラティリティドラグを0.5%ほど見込んでいます。

表に示されているのは元本と運用益を合わせた金額です。縦軸が毎月の積立額、横軸が投資期間で、参考として65歳でのリタイアを想定し、現在の年齢に応じて何年後にいくらになるかが分かるようにしています。背景の青色は金額の目安を表していて、薄い青が3000万円以上5000万円未満、中間の色が5000万円以上1億円未満、濃い青が1億円以上となっています。ただし1億円を稼ぐこと自体を目的にするのではなく、今の生活も楽しみながら将来に備えてほしいという思いを込めた色分けです。

月1万円(3:43)

まずは毎月1万円の場合です。10年後には154万円、20年後には406万円、30年後には815万円になります。1万円というと少額に感じられるかもしれませんが、20年、30年という長い期間で見ると、決して小さくない金額に育っていることが分かります。元本で言えば20年で240万円ですから、それに対して406万円というのはほぼ倍近い水準です。30年間の元本360万円に対しても815万円ですから、2倍以上に増えている計算になります。

月1万円投資で得られるメリット3選(4:50)

1万円という金額は馬鹿にされがちですが、実はいくつかの大きなメリットがあります。

1つ目は、実際の値動きを体感することで心理的な耐性が身につくという点です。桁をひとつ増やして10万円に置き換えれば、10年後1540万円、20年後4600万円、30年後8150万円というイメージにもつながり、金額感覚をつかむ練習にもなります。

2つ目は、投資経験を積むことで利回りに対する判断基準が養われるという点です。他の投資商品と比較したり、自分の資産がどれだけ増えたかを実感したりすることで、次第に相場観が身についていきます。

3つ目は、資産が実際に増えていく実感を得ることで、家計の見直しや積立額の増加といった行動の変化が起きやすくなるという点です2000円や5000円といった少額から始めて、慣れてきたら1万円、さらには数万円へと積立額を増やしていく方も多く見られます。またiDeCoや企業型DCなど、複数の制度に分散していても、合計でいくらになっているかを把握できるようになるのも大きな利点です。

生活防衛資金がまだ十分でない若い世代の場合は、まず1万円で投資に慣れながら、並行して生活防衛資金を貯めていき、準備が整った段階で本格的な積立に移行するという流れも十分にありだと考えています。子育て中などで家計に余裕がない時期でも、1万円だけは絶対に取り崩さずに続けるという方は少なくありません。そうした細く長く続ける投資のかたちとして、1万円の積立には十分な価値があります。

月3万円(8:01)

続いて毎月3万円の場合です。10年後には463万円、20年後には1217万円、30年後には2446万円になります。3万円というのは、手取り収入の10%を投資に回すという目安に近い金額で、20代から30代前半であれば無理なく続けられる水準です。30年間続けられれば2446万円に到達し、仮にその後投資を続けられなくなったとしても、資産はさらに10年ほどで倍近くに増えていくため、4000万円から5000万円といった水準も十分現実的な範囲に入ってきます。

3万円の積立は家計にとって決して軽い負担ではありませんが、投資に回さないお金で日々の生活を組み立てるという意味では、ちょうどよいバランスの金額だとも言えます。投資を早いうちから始めておくことで、今の生活を楽しみながら将来の安心も得られる、そんなバランスの取れた選択になります

月5万円(9:15)

続いて毎月5万円の場合です。10年後には772万円、20年後には2030万円、30年後には4070万円になります。3000万円を超えるのはおおよそ25年目あたりで、この金額があれば老後資金としてまとまった水準に届いてきます。

実際、独身のフルキャリアの方であれば3000万円を少し超えるくらい、共働きで子どものいないDINKsの世帯であっても3000万円あれば十分と言えるラインです。若いうちからスタートできなかった方でも、自分の年齢と残された年数を照らし合わせれば、どのくらいの積立が必要かの目安になります。

たとえば55歳から65歳までの10年間であれば、5万円の積立で772万円に到達します。逆に45歳から65歳までの20年間続けられれば、2000万円ほどに届く計算です。若いうちから30年間続けられれば4000万円を超えてきますので、老後資金としては十分すぎるほどの水準になります。

自営業の方など年金が基礎年金のみという場合はもう少し余裕を見ておきたいところですが、それでも4000万円近くまで積み上がっていれば、万一の際の死亡保障を厚くする必要性も薄れてくるでしょう

月10万円(11:03)

続いて毎月10万円の場合です。10年後には1544万円、20年後には4058万円、30年後には8154万円になり、1億円が視野に入ってくる水準です。この金額もインフレ分を織り込んだうえでの実質的な価値ですので、資産形成としては十分すぎるほどの規模と言えます。

45歳から20年間積み立てて65歳でリタイアを迎えるという流れであれば、十分な老後資金になります。ただしこの年代はお子さんが高校生や大学生になっている時期と重なることも多く、10万円を継続するのが難しくなる家庭もあるでしょう。それでも55歳あたりからお子さんの教育費が落ち着いたタイミングで10万円の積立を再開し、10年間で1544万円を作るという最後の追い込み方もできます。

たとえば45歳の時点で毎月3万円を積み立てられていれば、55歳時点でその資産と合わせて3000万円近くに届く計算になり、その後の10万円の積立と組み合わせることで、資産形成のスピードは大きく変わってきます。また40歳から55歳までの15年間、毎月10万円を積み立てられれば元本1800万円に対して2648万円まで増える計算になり、その後は積立をやめて運用だけを続けても、10年でほぼ倍の5000万円近くまで育つ可能性があります。

積立を続けられる期間の長さが何よりも重要で、早く始めておけば、途中で積立額を下げざるを得なくなったとしても最終的な資産額を大きく抑えることができます。

月15万円(13:45)

続いて毎月15万円の場合です。10年後には2315万円、20年後には6087万円、30年後には1億2231万円になります。ここまでくるといわゆるFIREを意識した水準です。10年間でNISAの非課税枠である1800万円がちょうど埋まる計算になり、10年後には2315万円に到達します。

たとえば55歳から65歳までの10年間、夫婦で15万円を積み立てられるという家庭もあるでしょう。お子さんが独立し、配偶者がパート収入などで無理なく10万円、もう一方が5万円といった形で積み立てられれば、2315万円という金額は十分に現実的な範囲です。それでも目標額に少し足りないという場合は、5年ほど期間を延ばすだけで3972万円まで積み上がる計算になりますので、教育費の負担が終わった後の余裕分を投資に回すだけで、3000万円台後半という水準は50代からでも十分に狙えます。

世帯人数が減ることで生活費を圧縮できるタイミングを上手に活用できれば、55歳からのスタートでも決して不可能な金額ではありません。

月30万円(16:26)

最後に毎月30万円の場合です。10年後には4631万円、20年後には1億2174万円、30年後には2億4461万円になります。この積立額はNISAの非課税枠をわずか5年で埋めてしまう水準で、非常に人気の高いパターンでもあります。

個人的にはやや踏み込みすぎに感じる金額ですが、いち早く経済的自立を果たして逃げ切りたいという方には向いているかもしれません。夫婦2人でこの金額を積み立てれば非課税枠は10年ほどで埋まってしまい、それ以降は特定口座や確定拠出年金なども活用しながら運用を続けていくことになります。

たとえば30代後半の時点で手元に1000万円ほどの資金があり、そのうち900万円を一括投資に回したうえで毎月15万円ずつ積み立てていくといった使い方も考えられます。10年ほど頑張れば4631万円に到達し、そこから先は仕事のペースを落とすなど、いわゆるコーストFIREのような働き方を選ぶこともできるでしょう。

将来のために我慢するのではなく、今の生活も楽しみながら将来にも備えるという考え方を大切にしたいところです。豊かさを手に入れてから幸せになろうとすると、遠回りになってしまうことが多いので、その過程そのものを楽しむ姿勢が大切だと感じています。

もちろん毎月30万円という金額は一般的な家庭にとってはかなり大きな負担で、相応の収入がある方でなければ現実的ではありません。たとえば会社経営者や役員など収入に余裕のある方であれば、20年後に1億円を超える水準に到達し、そこから先は全世界投資以外の選択肢、たとえば不動産や税金対策なども検討する時期に入ってくるかもしれません。ただしそこに至るまでは、特定口座での運用を淡々と続けるだけで十分だと考えています。

途中でまとまった含み益が出たからといって、個別株などより値動きの大きい商品に乗り換えてしまうと、相場が反転した際に大きく資産を減らしてしまうケースが過去にも数多く見られました。値動きの大きい相場を経験してきたからこそ、同じ失敗を繰り返してほしくないという思いがあります。

まとめ(21:30)

毎月一定額をずっと積み立て続けられる方というのは、実はそれほど多くありません。だからこそ、まずは今の家計で無理なく続けられる金額を見つけ、その金額でとにかく始めてみることが大切です。

たとえば30歳の時点で毎月3万円から始め、30年間続けられれば60歳時点で2446万円ほどになりますが、そこに加えて50歳あたりから毎月10万円をプラスできれば、65歳までの15年間でさらに資産を積み増すことができます。

今の年齢からリタイアまでの期間を踏まえ、その中でどれだけの金額を投資に回せるかを考えてみてください。子育て中など今は難しく感じられる時期があっても、お子さんが独立して世帯人数が減れば、生活費を圧縮できる分をそのまま積立額の増加に充てることができます。たとえば毎月40万円で生活していた4人家族が、子ども2人の独立によって28万円で暮らせるようになれば、浮いた12万円を新たに積立に回すことも可能になります。

今回のシミュレーションはあくまで一定額を積み立て続けた場合の試算ですが、途中で積立額を増減させる応用的な使い方も含めて、ぜひ参考にしていただければと思います。何よりも大切なのは投資に充てられる期間の長さですので、少しでも早く積立を始めていただきたいと思います。

またこちらの動画「【まだオルカン一択?】新NISA時代に注目される4つの投資先(2026年)」では、オルカン一択のリスクと、日本株・金・新興国・日本債券も含めた資産分散の考え方を解説していますのでぜひご覧ください。

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