日経平均、S&P500、史上最高値を更新!なにが起こった? 

本動画の撮影日は5月9日です。ゴールデンウィークが明けて日経平均が史上最高値を更新したり、S&P500も史上最高値を更新したりと、さまざまなニュースが飛び交っています。戦争の情勢に加え、円安もある程度進んでいたところが、直近では少し落ち着いてきました。

一体何が起こっているのか、解説していきます。

日経平均史上最高値更新!について(0:53)

日経平均については各メディアでも取り上げられており、上げ幅は3,320円、終値としては62,833円となっています。どこまで続くのか、市場の過熱感・警戒感といったものも出てきている状況です。

今年に入って3月に下落しましたが、4月から上昇に転じ、現状では過去最大の上げ幅となっています。ただし、日経平均全体が上がっているとはいえ、一部の銘柄に集中しているという点には注意が必要です。寄与度を確認すると、今回の上昇を牽引しているのはソフトバンクグループ(804円寄与)、アドバンテスト、東京エレクトロンなどが続いており、ファーストリテイリングとダイキン以外はほぼすべてがAI・半導体関連銘柄です。逆に言えば、上がっているのはそれらの銘柄だけということです。

ファーストリテイリングは日経平均が上がるとともに上昇しやすい銘柄であり、ダイキンも空調メーカーではありますが機械系です。ソフトバンクグループはARM社を通じてAIインフラを支援しており、アドバンテストは半導体検査装置、東京エレクトロンは半導体製造装置、さらにフラッシュメモリー専業メーカーや光ファイバー関連も並んでいます。これらはすべて半導体・AI銘柄であり、世界的にAIへの需要が高まりチキンレースのように投資が膨らんでいる状況が続いています。

他にもいろいろなところで最高値更新(3:32)

ニューヨーク株式市場でも600ドル程度の大幅上昇が見られました。きっかけとしてはイラン戦争の収束観測なども挙げられていますが、こういった理由は後付けであることが多く、実際に収束していない中で「収束へ」という報道が繰り返されているのが現状です。原油価格は一時的なピークからは多少下がってきているものの、どこまで影響しているかは不明です。S&P500については米国時間5月6日の終値ベースで7,365.12と史上最高値を更新しました。

また、韓国の株式市場でも時価総額が6,000兆ウォンを超え史上最高となっています。韓国株はオルカン(全世界株式インデックス)にも組み入れられていますが、比率は非常に低いため、押し上げ効果は限定的です。一方で台湾も半導体関連で注目されており、S&P500やダウの上げ幅と比べると日経平均や韓国・台湾の上げ幅のほうが大きくなっています。

日経平均とTOPIXの乖離が過去最大という指摘もあります。TOPIXはどちらかといえば内需系の銘柄が多いため、現状ではそこまで上昇していません。「自分たちの生活とは全く関係ないところで上がっているから実態を反映していない」という意見もありますが、実態を反映していないという見方は視野が狭い面もあります。

一方で、AI・半導体銘柄がこれだけ買われているなかで、AIが実際にどれだけの経済効果を生み出しているのかという疑問も残ります。AIを活用することで便利になったり高度な業務ができるようになったりはしていますが、まだ私たちの生活全般に十分に届いていないという感覚もあり、バブル的な見方をする方がいるのも自然なことです

実態がないとは言い切れませんが、世界中で半導体やAIへの投資がひっきりなしに行われており、NVIDIAやTSMC、ARMなどが買われ続けています。ただし、石油関連、特にナフサについては日本国内での生産能力が非常に限られており、政府が石油備蓄地を解放してもナフサを抽出できなければ意味がないという問題があります。

かつて千葉などで生産されていたナフサも、今では国内での製造はほぼなくなっており、輸入に頼っている状況です。充電器やウェブカメラなど多くの製品が中国製となっているのも同様で、安全保障上の懸念が生じています。日本国内で生産すると人件費が高くなり価格競争力を失うため、製造拠点が海外に移っていき、国内では技術が失われるという空洞化が進んでいます。トランプ氏がアメリカ国内での生産を求めているのも、こうした安全保障の観点からです。

浅田の懸念事項(10:57)

半導体の需要が高まっていることは確かですし、その方向に進んでいくとは思いますが、懸念されるのは半導体そのものが製造できなくなるリスクです。日本のナフサ不足もさることながら、より深刻なのは台湾です。台湾は半導体生産の中心地でありながら、材料が不足して製造できなくなるリスクをはらんでいます。株価が上がっているのに実際には作れないという状況になれば、それは本来おかしな話です。

もう一つの懸念は、物価上昇に各国が耐えられるかという問題です。アメリカでは実質賃金が上昇しているため、物価が上がっても一応は購入できる状態が続き、インフレが加速しながらも均衡点まで買われ続けるという構図になっています。ただし、それも長くは続きません。

一方、日本では実質賃金が下がっているため、物価が上がっても買えないという状況が生じています。これがスタグフレーション、つまり景気が悪化しながら物価が上昇するという状態につながりかねません。雇用にまで影響が出てくると、大変なことになります。大企業の株価は上がっていても、その恩恵が中小企業に波及するシャワー効果は期待しにくく、そもそも日本はAIや半導体を供給する側ではなく受け取る側であるため、国内経済が今後も成長し続けるとは考えにくい状況です。

石油や天然ガスの備蓄についても、金額ベースでは十分とされていても、現場では実際に不足しているケースが発生しています。戦争が終結して物流が正常化されることが最善の解決策ですが、それまでの間は迂回ルートを取るなどのコスト増を甘受しながら乗り越えるしかありません。

インフレが進む中で日銀は利上げを迫られ、さらに経済が締め付けられるという悪循環も懸念されます。政府が減税で手取りを増やそうとすればインフレが加速するリスクもあり、スタグフレーション下での政策運営は非常に難しい局面です。急激な変化は避けながら、段階的に対応していくことが求められています。

個人投資家はどう動いたらいいのか(15:09)

こうした状況を踏まえても、インフレへの対策としてリスクオンの姿勢で投資を続けるしかありません。株価が上がりすぎて怖いと感じても、投資していなければ置いてかれるというチキンレースになっているのが現実です

急落が起きればある程度の影響は受けるでしょうが、それまでに積み上げた利益の一部を市場に返すという心持ちが大切です。ここで引いてしまうと、その後の上昇を取り逃がすことになります。こういった局面でこそ、アセットアロケーション(資産配分)の強みが発揮されます。

株価は上昇している一方、債券は緩やかな動きにとどまっています。円安も最近の介入によってある程度落ち着いています。株式で増えた利益を定期的に債券側にシフトしておく、いわゆるリバランスを行うことで、チキンレースから一定の距離を置きながら資産を守ることができます。

リバランスは頻繁に行っていただいても構いませんが、特定口座では税金が発生したり、NISA枠を消費したりとコストが伴うため、年に1回程度が目安です。株式だけで運用している方は急落をそのまま受けることになりますので、心理的な耐久力を維持するためにも債券を含めた分散投資を検討してほしいと思います。

オルカンのみで運用している方も多いかと思いますが、預貯金と合わせてバランスをとっているのであれば、今こそオルカンの一部を売却して現金で持っておくことも、アセットアロケーションの考え方として有効です。ルール化されていなければ、結局は株式一本で運用していることと変わらず、急落の影響をそのまま受けることになります。

まとめ(21:03)

株式だけで運用している方で、急落があっても持ち続ける強い意志を持っている方については特に問題はありません。ただし、実際には気持ちが折れてしまうことが多く、そのまま持ち続けられた方はなかなかいないというのが現実です。

心を安定させるためにも、債券を含めた資産分散、あるいは投資資金がある方は時間分散を取り入れることをおすすめします。長期投資・資産分散・時間分散という王道の投資スタイルを、ぜひ改めて見直していただければと思います。

またこちらの動画「米国株は今、買い時?それとも危ない? 迷う人が見落としている”投資の鉄則”と本当の答え」では、予測に頼らずリバランスで機械的に増やす考え方を数値・口数ベースで解説しているのでぜひご覧ください。

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