「結局、株が一番増えるんでしょ?」への回答。オルカン・S&P500一本の裏に潜むリスクの正体

「投資の本質はお金を増やすことだから、リターンを下げてまでリスクを下げる必要はない。つまり株式のみが合理的だ」という意見をよく聞きます。一方でマネーセンスカレッジでは、「投資家の仕事はリスクを下げること。なんならリスクを下げることでリターンが良くなる時もある」とお伝えしています。

今回はその理由を、事例を交えて解説していきます。

リターンの不確実性があるからリスクが発生する(0:54)

ここで言うリスクとは元本割れリスクではなく、価格が変動してブレるばらつきのことです。正確に言えば、リターンに不確実性があるからリスクが発生します。投資の世界ではよく「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」と言われますが、これは金融商品一つを見れば変わらない法則です。

ただし、複数の商品を組み合わせることによってリスクを大幅に抑えながらある程度のリターンを得る方法があります。これが資産分散・時間分散、すなわち分散投資です。

長期投資家にとってリターンは長期で保有していれば後からついてくるものです。バフェット氏も「持っていれば増えていく」と言っています。だからこそ、長期投資家の仕事はリスクを抑えることに尽きます。 マネーセンスカレッジが提唱する全世界投資という方法も、リスクを下げることを目的としたアセットアロケーション運用です

リスクとリターンの関係性(3:28)

年平均リターンを7%に固定し、リスクを11%・22%・33%と変化させた価格推移グラフを見ると、リスクが低いほど最終的な資産額が高くなることが分かりますつまり同じリターンであれば、リスクを小さくした方が資産は増えます

リターンを増やした場合(5:37)

「リスクは上がってもリターンが高ければ最終的には勝てるのでは?」という疑問に対して、リターンを8%・9%に引き上げた場合のシミュレーションを見てみます。リスクが2倍・3倍に膨らむと、リターンが1〜2%増えた程度では追いつかないことが分かります。

リスクが上昇した分に見合うだけのリターンを生み出せなければ、本末転倒です。 もちろんリターンがある水準まで上がればリスクの増大を上回ることはありますが、それには私たちが思っている以上に大きなリターンが必要になります

これは「ボラティリティドラッグ」と呼ばれる現象によるものです。例えば10%下落した場合、元に戻すには11%の上昇が必要です。20%下落すれば25%、33%下落すれば50%、50%下落すれば100%の上昇が必要になります。

プラスとマイナスのパーセンテージは掛け算で積み重なるため、下げ幅が大きければ大きいほど、取り戻すために必要なリターンは想像以上に大きくなります。だからこそ、ドローダウン(ピークからの下落幅)をできるだけ小さく抑えることが重要なのです。

全世界投資とオルカンの比較(9:09)

マネーセンスカレッジの全世界投資は、23年間の実績ベースで平均リターン7%・リスク11%程度です。オルカンは現在上昇トレンドが続いているためリスクが低く見えますが、米国株への依存度が高く、米国市場が大幅に下落すればリスクは跳ね上がります。過去のデータから見ると、株式一本の場合はどの商品であっても20〜22%程度のリスクを見込んでおくべきです

オルカンのリターンを8%と仮定して比較しても、リスクが22%になると最終的なリターンは全世界投資(リターン7%・リスク11%)に届かない結果になりますリスクが高くなると中央値が下がり、一部の幸運な人だけが大きく儲かるギャンブルに近い状態になってしまいます

全世界投資とオルカンの実際のチャート(12:53)

2003年からのチャートで実際のデータを見ると、リーマンショック前はオルカンの方が上にいました。しかし下落局面では全世界投資の方が下げ止まりが早く、オルカンはさらに突っ込んでいきましたそしてオルカンが全世界投資を上回るまでに、実に12年9ヶ月かかっています

株式一本だとリーマンショック時には60%近くのダウンがあります。マネーセンスカレッジの方法でも大きく下げた局面で不安の声が上がることがあるくらいですから、株式のみでそれを耐え続けることは容易ではありません。

アセットアロケーション運用がノーベル経済学賞を受賞しているのも、そのような事実の積み重ねがあるからです「株式が一番増える」という主張は、平均リターンという数字だけを見てリスクのデータを見ていないに過ぎません。

まとめ(19:22)

リスクを抑えながらリターンを確保することが、投資家の腕の見せどころです。現時点で最も再現性が高く安全な方法は、アセットアロケーション理論に基づく運用です。全額預金ではリターンが得られないためある程度のリスクは必要ですが、そのリスクをコントロールしながら資産を育てていくことが大切です。

実践する上でやることはシンプルです。毎月一定金額を積み立て、年に1回リバランスをする。それだけです。やること自体は難しくありませんが、理解することが難しく、またさまざまな情報が溢れているために迷いが生じやすいのも事実です。

最終的に計画的・再現性高く、安心して資産を増やしていける方法を求めるなら、全世界投資のようなアセットアロケーション運用が現時点での最善の答えです。

またこちらの動画「S&P500やめました。これからは国際分散投資です!がそもそも負け戦の理由」では、国際分散投資の基本から、S&P500やオルカン1本では不十分な理由、本当の資産分散とは何かをわかりやすく解説していますのでぜひご覧ください。

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