金融所得も保険料に反映へ。今後の老後設計が大きく変わります。

金融所得も保険料に反映されるというニュースが飛び込んできました。

以前から話し合いが続いていたテーマではありますが、石破政権下でもタイミングが合わず法案提出が見送られていた経緯があり、今回ようやく動き出した形です。

医療保険制度の見直しについて(0:50)

今回の法案の内容は、75歳以上の方を対象とした医療保険料などの社会保険料を決める際に、金融所得を反映させるというものです。2026年2月の国会に提出されたとみられており、OTC類似薬や高額療養費制度に関する改正案と並んで盛り込まれています。

対象となるのは後期高齢者医療制度の加入者、すなわち75歳以上の方々です。対象となる所得は配当所得だけでなく、株式等の譲渡所得(売却益)も含まれます。

これまで特定口座の源泉徴収ありで運用している場合、証券会社が税計算と納税を完了させるため、確定申告をしなくてもよい状態でした。そのため合計所得金額には含まれず、社会保険料の計算にも反映されていませんでした。

しかし証券会社はe-Tax等を通じてすでに税務当局に情報を提供しており、今回の改正ではそのデータを活用した新たなデータベースを構築し、確定申告の有無にかかわらず金融所得を保険料計算に組み込む仕組みとなります。

今までの後期高齢者医療制度(5:13)

現行の後期高齢者医療制度では、原則1割負担、一定所得以上の方が2割負担、現役並みの所得がある方は3割負担という段階制が設けられています。今回の改正では、この区分に金融所得が加算されることになります。

単身世帯の場合、収入が200万円以上で2割負担、383万円以上で3割負担となります。夫婦世帯では320万円以上が2割、520万円以上が3割の目安です。年金収入に加えて配当や売却益が加算されるため、ある年に大きな売却益が生じた場合には、思わぬ形でこの基準を超えてしまうケースも出てくる可能性があります

影響と対策方法(6:52)

三菱総合研究所の試算によると、3割負担に該当する世帯では保険料が約3%増加する一方、1割負担の方は約0.4%、2割負担の方は約2.3%それぞれ減少するとされています。影響を受けるのは全体の約4%と見込まれており、比較的余裕のある世帯に追加負担を求める所得再分配の政策としての側面があります。

ただし、iDeCoや企業型DCで積み立てた資産を年金形式で受け取る場合、公的年金等に含まれるため課税対象となり得る点には注意が必要です。

対策としては、NISA口座での運用益は非課税所得に分類されるため、社会保険料の計算に含まれないという点が挙げられます。また、特定口座での運用資産を75歳になる前に整理してしまうことや、iDeCoや企業型DCを60歳から受け取り始め、75歳までに受け取り終えてしまうという方法も考えられます。

75歳以降は投資をせず現金化した資産を取り崩していくというマネーセンスカレッジのシミュレーション上のルールに従えば、個人向け国債などで運用する場合でも7,000万円を超えない限り大きな影響は受けにくいと考えられます。

なお、年間の金融所得を70万円以内に抑えながら売買を繰り返すような方法も回避策の一つとして挙げられますが、制度の詳細によって判断が変わる点には留意が必要です。

法案のタイムスケジュール(13:14)

与党から提出された法案であることを踏まえると、国会で可決される可能性は高いとみられます。ただし実施までには時間がかかる見通しです。証券会社からのデータをもとに新たなデータベースを構築し、地方公共団体のシステムと連携させる必要があるため、早くても2030年度の実施になると言われています。つまり現時点(2026年)から3〜4年、長ければ5年程度先の話です

仮に制度が実施された場合、年間保険料が1万5,000円程度だった方が52万円規模になるケースも想定されており、さらに窓口負担割合の変化と高額療養費の合算によるダブルパンチも懸念されます。

75歳未満の人やサラリーマンは関係ある?(15:51)

今回の法案は75歳以上を対象としていますが、65〜74歳で国民健康保険に加入している方についても、同様のデータベースさえ構築されれば容易に適用拡大できる仕組みになっています。実際、会議の場でもその議論は出ており、国民健康保険加入者への展開は時間の問題との見方もあります。

会社員が加入する健康保険については、報酬に対して一定率の保険料を徴収する仕組みが既に整っているため、そこに金融所得を追加するには他の社会保険料との整合性も含めた複雑な検討が必要となり、現時点では導入のハードルは高いと考えられます。ただし、将来的な可能性まで完全に否定できるわけではありません

まとめ(21:19)

今回の改正の根本にあるのは少子高齢化です。医療制度を維持するためには財源の確保が不可欠であり、所得のある方に応分の負担を求めるという方向性は全体的な流れとして理解できる面があります。一方で、老後に備えてリスクを取りながら資産形成に取り組んできた結果として保険料が上がるという構造には、モラルハザードにつながりかねないという懸念もあります。

老後の医療費については1人当たり500万円程度を備えておくことが目安として示されており、3割負担になった場合でも一定の対策が可能です。今後も医療費の負担は増加傾向が続くと見込まれるため、年金受給額の把握から始める老後資産設計を早めに進めておくことが重要です。制度の動向を引き続き注視しながら、自分自身の資産設計に反映させていきましょう。

またこちらの動画「《老後資金が不安…》老後65歳に必要な貯蓄額は?」では、老後の医療費の目安や必要な備え方を詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

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