新NISA:今年の非課税枠あまってる?有効活用する5つのポイント

新NISA制度の非課税枠が余っている方は多いのではないでしょうか。

年末が近づいてきた今、年間投資枠を有効活用したいと考えている方に向けて、5つの方法を解説します。

新NISA制度を超高速でおさらい(0:51)

新NISA制度にはつみたて投資枠と成長投資枠の2つがあります。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円が投資可能な枠として設定されています。

今年からつみたて投資枠は積み立てでしか投資できなくなったため、今から始める方は月10万円が上限となり、過去分の枠は使えません。非課税保有限度額は総額1800万円で、そのうち成長投資枠だけで投資できるのは1200万円までですつまり、最低でもつみたて投資枠で600万円以上投資しないと、1800万円の枠を使い切ることはできません。

つみたて投資枠では長期の積み立て分散投資に適した一定の投資信託のみが対象ですが、成長投資枠ではつみたて投資枠で購入できるものすべてに加え、上場株式やETFなども購入可能です。どちらも18歳以上が対象となっています。

今回のテーマは、この年間投資枠であるつみたて投資枠の120万円と成長投資枠の240万円をどう活用するかという点になります。

新規投資資金の投資(2:23)

まず第一に、新規投資資金がまだ残っていないか確認しましょう。投資し忘れている資金があれば、そこに活用していくことをお勧めします。

来年になれば年間投資枠はリセットされて120万円、240万円に戻りますが、その前に投資資金があるなら今年中に投資しておくのが得策です。

ここで一部勘違いされている方もいますが、新NISAは積み立てだけでなく一括投資も可能です。つみたて投資枠しか使っていない方や、積み立て設定だけをしている方も多いですが、投資資金があれば一括投資することもできます。

アセットアロケーション運用をされている方であれば、これを機にリバランスをするのも一つの手です。ノーセルリバランスという方法を使えば、売却することなく購入だけでリバランスを済ませることができます。

12月にボーナスなどのまとまった資金が入る方もいるでしょうから、せっかくなので今年中の年間投資枠で投資してしまいましょう。

年末満期の旧NISAのロールオーバー(3:23)

2番目は、年末に満期を迎える旧NISAのロールオーバーに活用する方法です。

旧NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAがありましたが、ここでは一般NISAが該当します。一般NISAは投資してから5年間の非課税期間があり、5年経つと非課税期間が終了して特定口座に払い出されてしまいます。

今年満期を迎えるのは2021年に投資された分です。そのまま放置すると特定口座に入ってしまい、自動的に新NISAには移管されません。手動でロールオーバーする必要があります。

ロールオーバーとは、今まで投資しているものを別の口座に移し替える、もしくは買い直すことを指します。もし該当する資金があるなら、もったいないので今年中に売却して、そのお金で本来購入したいものが違うなら違うものを、同じものなら同じものを新NISA内で購入するとよいでしょう。

注意点として、旧NISAで購入しているものは新NISAに自動で移管されませんので、手動で売って買うという作業をして移動させる必要があります。放置するとずっと課税口座に入ってしまうため、もったいないです。新NISAの枠を十分に活用することをお勧めします。

特定口座の投資資金を移管(4:50)

3つ目は、特定口座の投資資金を新NISAに移してしまう方法です。

特定口座で運用されている方で、現状かなり利益が出ている方も多いのではないでしょうか。新NISAの枠が空いているなら、特定口座から移管してしまった方がよいでしょう

ただし、これには条件があります。1800万円の枠を埋め切れない方、もしくは埋め切れる予定がない方が対象です。そういった方は、特定口座の資金を今のうちに移してしまった方がよいでしょう。

もちろん、特定口座で利益が出ている場合、運用益に対して20.315%の税金がかかります。その分だけ減った状態で新NISAで運用しなければなりませんが、特定口座で運用していればいずれこの20.315%を払わない限り、自分の手元にお金は入ってきません。

長期投資やアセットアロケーション運用などでバランスよく分散投資されている方は、全体で考えると増えていくことを前提としているはずです。増えるかどうかの約束はできませんが、増えていくことを前提として保有しているなら、今以上に税金は増えるということです。つまり、今が一番税金の安い時なのです。

波があるので今売った時よりも大幅に下がることもあるかもしれませんが、それは誰にも分かりません。基本的には理論上、右肩上がりに上がっていくだろうと想定して投資しているはずです。そうすると、今現状払うのが理論的には一番安い時と言えるため、早めに新NISAの方に移管してしまえばよいということになります。

ただし、1800万円が埋まってしまい、さらに投資資金がある方はその後また特定口座で運用しなければなりません。そうすると税金を払った分だけ損してしまう場合があり得ます。埋め切れることが分かっているなら、特定口座のまま運用していただき、税金も払わずにそのまま運用し続ける方が複利効果が働いて有利になります。そういった方は対象外となります。

新NISA口座の総枠の解放(6:58)

4つ目は、新NISA口座の総枠の解放です。これは少し難しく、実施している人はほとんどいないと思われます。

総枠の解放は、新NISA で購入している金融商品が損失になっている方が対象です。そういった方は売却と再購入を行うことで、枠を若干取り戻すことができます。

この総枠は簿価計算方式と呼ばれる方法で計算されており、買った値段が1800万円まで非課税になるという枠があるということです。買った値段より下がっているのが損失になっているので、その損失分だけ多く枠を使ってしまっているのです。

損失をしているなら売って買えば、損失をした減った金額で再購入する形になるので、投資額はそのままです。NISAは非課税口座なので課税はそもそもされません。売買に手数料がかかるような商品を持っている方はあまりいないと思いますが、推奨されている投資信託などで運用されている方は基本的にデメリットはありません。

売買で手数料がかからないので、売って買った値段は変わりません。例えば100万円で購入したものが今80万円になっている場合、損失が20万円です。これを80万円で売り、NISAではこの下がった分には何も影響を与えません。得も損もない状態なので、80万円が手元に戻り、その80万円で同じものを購入すると80万円で購入したことになるため、20万円分を解放することができます。

100万円のままだと100万円の枠を使ったままなので、その20万円分新たに投資することができません。来年また枠が復活しますので、この総枠についても同様です。現状何もすることがないという場合で、実体損失になっている金融商品が新NISA口座であれば、基本的に解放することができます。

注意点として、この非課税枠を解放する際、売却する対象となる商品は損失が出ているものに限ります。損失が出ていれば買った金額よりも下がっているので、その分だけ枠が解放されます。今までずっと積み立て投資で購入されていたものでも、マイナスになっていれば全部売って全部買えば、そのマイナス分が解放されることになります。

利益が出ている場合でも解放できる場合もありますが、それは非常に難しく、時系列的にも一番古くに買ったものがマイナスになっているというような条件も必要になるので、基本的に考えなくてよいでしょう。

また、再購入する場合どうしてもタイムラグが生まれます。その時に売った値段が安くて買った値段が高くなる場合、実質的に損してしまうこともあります。なので、ギリギリの線を攻めるのはお勧めしません。

投資信託の売却価格は翌日になるため、少なくともその時に急騰してしまえば、基本的には価格変動リスクを負う形になります。このリスクのことをスリッページコストと言ったりもしますので、そういったものが発生することに注意してください。往復で1%程度考えておけば特に問題はないと思いますが、売りの対象になっている金融商品によっては1日ですごく大きく変動するものもあるかもしれません。

また、この枠の解放については翌年以降になりますので、その点もご注意ください。

来年以降に満期になる旧NISAのロールオーバー(10:27)

5つ目は、来年以降に満期になる旧NISAのロールオーバーです。

今まで何もやっても使うものがないという場合は、来年以降に満期になるものもロールオーバーするとよいでしょう。

つみたてNISAは全然満期ではありませんが、これも移行した方がいいのかとか、今年分は既に終わっているけれど来年以降もやってよいのかという質問もありますが、基本的にできるだけ早い時期に新NISAの方に入れることによって購入価格を下げることができます

投資しているものは基本的に資産として長期投資を前提としているので、今の価格よりも将来の価格の方が高くなっていることを想定しているわけです。そうであるならば、値段が上がっていってしまうので、後に伸ばせば伸ばすほど新NISAの投資枠を使ってしまうことになります。理論上ですが、その枠をできるだけ小さく使うということを考えればできるだけ早くロールオーバーしてしまうのがよいでしょう。

NISAにそこまで金額的に投資する金額はないけれど、過去に投資していた旧NISAが結構あるという方は、年間投資枠の枠内であればそこでロールオーバーしてしまえばよいのではないでしょうか。

まとめ(11:34)

以上、大体5つの方法を紹介しました。5年経って枠が全部埋まり切ってくるタイミングの方はまた別に6番目が生まれてきますが、それについてはまた4年後、3年後くらいに動画で扱う予定です。

今回5つの方法を紹介しましたが、この優先順位や複数該当するものがある場合にどれからやったらよいのかという条件分岐については、会員向けのコンテンツで扱っています。もし興味があれば検討してみてください。これだけで数十万円変わることもあるので、十分価値があると思います。

またこちらの動画「ロールオーバーできない旧NISAはどうしたらいい?つみたてNISA、ジュニアNISAもあわせて解説【2025年版 新NISA】」では、旧一般NISAからつみたてNISAの早期移行、ジュニアNISAの18歳到達時の手順まで解説していますのでぜひご覧ください。