ロールオーバーできない旧NISAはどうしたらいい?つみたてNISA、ジュニアNISAもあわせて解説【2025年版】

2025年もロールオーバーの時期がやってきました。旧NISAから投資をしている方、つまり2023年以前に投資を開始した方の中には、旧NISAをお持ちの方も多いでしょう。

今回は旧NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAについて、それぞれどのように対応すればよいのかを2025年版として解説します。

新NISAと旧NISAの関係性(1:04)

新NISAは年間360万円の投資枠があり、内訳は成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円です。生涯投資枠は1800万円で、成長投資枠だけでは1200万円までしか投資できないため、つみたて投資枠で600万円投資しないと全額は埋められません。

この金額は簿価計算方式、つまり購入金額ベースで計算されます。購入後に値上がりした分については、まだ売却していない含み益も含めて全額非課税となります。

最も重要なのは、2024年に始まった新NISAと2023年まで続いた旧NISAは完全に別制度として扱われるという点です旧NISAから新NISAへの自動移行や自動ロールオーバーは一切できません。

一般NISAをおさらい(2:11)

一般NISAは2014年から2023年まで10年間続いた制度です。年間120万円の投資枠があり、非課税期間は5年間でした。

一般NISAの大きな特徴は自動ロールオーバー制度でした非課税期間が満期になると、翌年の非課税枠に自動的に移し替えられる仕組みです。たとえば120万円で投資を開始して5年後に150万円になっていた場合でも、翌年の120万円の枠に150万円分を入れてくれました。値下がりして100万円になっていた場合は、100万円がロールオーバーされ、さらに20万円追加投資できました。

しかし、この自動ロールオーバーは新NISAには適用されません。2025年に非課税期間が満了するのは2021年に投資したもので、これについては自分で手続きが必要です。2022年の投資分が2026年末に、2023年に投資したものが2027年末に満期を迎えます。

つみたてNISAをおさらい(5:07)

つみたてNISAは2018年から2023年まで6年間続いた制度です年間40万円投資でき、非課税期間は最大20年間ありました。実質6年間だったため、40万円×6年間で240万円が投資可能額でした。

つみたてNISAは20年間の非課税期間があるため、2018年に開始した方でも2037年末まで非課税期間が残っています。旧NISAから新NISAに制度が移行しても、この非課税期間はそのまま継続されます。

ジュニアNISAをおさらい(6:08)

ジュニアNISAは2016年から2023年まで8年間続いた未成年者向けの制度です年間80万円まで投資でき、非課税期間は5年間でした。

当初は18歳になるまで引き出しができませんでしたが、制度廃止決定後に制限が緩和されました。現在残っているのは2021年分、2022年分、2023年分の3年分で、合計240万円分です。

重要なのは、18歳になるまでは非課税期間が続くという点です。5年経過後でもお子さんがまだ18歳未満なら、継続管理勘定に移り、そのまま非課税で投資を続けられます。

2025年末の論点/一般NISAについて(7:56)

一般NISAについて、2021年に購入した分は今年の年末に非課税期間が満了します。選択肢は2つあります。何もせずに来年1月1日に特定口座へ払い出される方法と、年内に売却する方法です。

おすすめは年内に売却して新NISAで買い直すことです。多くの方は新NISAの枠が残っているため、売却代金で同じ商品を新NISAで購入することで非課税期間を継続できます。

払い出しにはデメリットがあります。特定口座に払い出される際、その口座で同じ商品を持っている場合、移動平均法で取得単価が計算し直され、税制上不利になります。払い出しの取得価格は12月末の最終価格になります。

ただし特定口座で同じ商品を持っていなければ、払い出しでも問題ありません。しかし1月1日からは課税されるため、速やかに新NISAの枠で買い直すことをおすすめします。

年内の新NISA枠が全額に足りない場合は、12月に売却して買える分だけ今年の枠で購入し、残りは来年の360万円の枠で購入するという手動ロールオーバーがよいでしょう。

つみたてNISAの移行方針(12:01)

つみたてNISAはまだ非課税期間が残っているため、そのまま保有も可能です。しかし原則として、新NISAへ移管することをおすすめします

理由は、長期投資では時間とともに価格が上昇すると期待されるため、現時点が最も安い価格だからです。新NISAは簿価計算方式なので、安い価格で移管すれば枠を効率的に使えます。早期移管するほど、少ない枠の消費で多くの資産を非課税運用できます。

ただし例外もあります。生涯投資枠1800万円を全額使える方は、つみたてNISAの20年間の非課税期間をそのまま活用した方が有利です。しかし大多数の方は1800万円を埋められないため、できるだけ早く新NISAへ移管した方がよいでしょう。

ジュニアNISAの取り扱い(14:22)

お子さんが18歳未満なら、ジュニアNISAはそのまま保有し続けることが可能です親の新NISA枠への移管も可能ですが、贈与の問題が発生する可能性があるため、お子さんのお金として運用を継続したい場合は、そのまま保有が基本です。

18歳になる1月1日に成人の新NISAが自動開設され、ジュニアNISAの資産は特定口座に払い出されます。その時の取得価格は12月末の価格となり、以降の値上がり分には課税されるため、速やかに新NISAへ移管することをおすすめします。

来年から新NISAでスタートしたい場合は年内に売却も可能ですが、ジュニアNISAの払い出しは全額引き出しが条件です。一部だけの引き出しはできません。

ジュニアNISAは最大400万円投資できるため、360万円の年間投資枠を超える可能性があります。その場合、超過分は特定口座で運用し、翌年の新NISA枠で移管すればよいでしょう。非課税口座が使い切れても、投資継続が最優先です。儲かった分にしか課税されないため、元本が減るわけではありません。

一括投資vs時間分散(積立)(19:09)

旧NISAから新NISAへの乗り換えでは、時間分散ではなく一括投資が推奨されます

時間分散が必要なのは現金から投資する際に高値掴みを避けるためです。しかし既に投資済みの資産は、値上がり分も含めてリスクにさらされています。単なる口座の移し替えなので、全額一括で購入すべきです。

取得価格は新しい購入価格になりますが、実際の投資額や損益は証券会社の表示ではなく、自分で記録管理することが重要です。いつ現金を投入したのか、それが今いくらになっているのか、その差額が実際の儲けです。儲けは消えませんので、全額投資して問題ありません。

ただし時間分散したい場合は、それも選択肢です。ただし投資されていない期間が生まれ、その分だけ利回りは下がることを理解した上で判断してください。

旧NISA 手動ロールオーバーおさらい (21:20)

旧NISAと新NISAは断絶しているので自動的に新NISAに移管されることはありません。旧NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つの制度がありましたが、それぞれ移管しようという場合には手動でのロールオーバーが必要です。

自分自身で売却して新NISAの方に入れるという手間が年末年始に必要になってきます。今現状枠が消費できず余っている場合は今年のうちに手動ロールオーバーして今年の枠で乗り換えるのがよいでしょう。

今年の枠は使い切ってしまう、もしくは既に使い切っているという場合は、余った分に関しては来年度の新しい枠を使います。

来年の分も含めて枠を消費してしまって投資金額に枠が足りないという場合には迷いなく特定口座で運用することも検討して下さい。増えると期待しているものに対して投資をしているので、非課税口座だろうが特定口座だろうが関係無しに運用を継続するほうがよいです。

再来年には新たに年間投資枠が空くので、その時に改めて特定口座の方を売って新NISAへ移管します。

売却の手順(22:54)

2021年分だけを正確に売却するには、口数指定での売却が必要です。金額指定では口数が変動し、意図しない年の分まで売却してしまう可能性があります。

SBI証券の例では、金額指定で買い付けた投資信託も、ウェブサイト(PCサイト)で口数指定で売却できます。口数指定にする理由は、2021年分として持っている数をそのまま売却すれば全額売却できるためです。

具体的な手順は、ウェブサイトから「NISA口座管理」→「旧NISA・つみたてNISA保有証券(前日基準)」と進み、2021年のタブを選択します。そこで表示される保有口数を控え、売却画面で預かり区分を「旧NISA」、取引種別を「口数売却」として、控えた口数を入力します。

重要な注意点として、スマートフォンサイトやかんたん積立アプリでは口数指定売却に対応していません。必ずPCサイトで手続きを行ってください。

まとめ(27:53)

一般NISAは2021年分が今年満了するため、年内売却して新NISAで買い直すことをおすすめします。特定口座で同じ商品を持っていない場合は払い出しでも問題ありませんが、来年からは課税されるため、速やかに新NISAで買い直しましょう。

つみたてNISAは早期移行が基本です。現時点が最も安い価格なので、早く移管するほど枠を効率的に使えます。ただし1800万円を埋められる方はそのまま保有も選択肢です。

ジュニアNISAは18歳まで保有を継続し、18歳到達時に新NISAへ移管します。年間投資枠360万円を超える場合は、超過分を特定口座で運用し、翌年また新NISAへ移管すればよいでしょう。

旧NISAから新NISAへの乗り換えは一括投資が推奨されます。既に投資済みの資産は、簿価が変わるだけで実際の儲けは変わりません。自分で投資額と時価を記録管理することが重要です。

最も避けるべきは、売却後に再投資を忘れることです。また売却代金が生活費と混ざって使ってしまうことも避けましょう。せっかくの非課税枠を無駄にしないよう、計画的に手続きを進めてください。

またこちらの動画「【2025年 新NISA 2年目の投資戦略】ここで差がつく!失敗しない7つの注意点」では、新NISA運用で押さえるべき投資戦略を解説していますのでぜひご覧ください。