日経平均、史上初5万円突破。恩恵を受けられた人・受けられなかった人。これからどうするべき?
日経平均はかつて7,000円台まで落ち込んだこともありました。それより以前から投資教育として情報発信を続けてきた私たちにとって、5万円突破は大きな節目です。
かつて「日本株はオワコン」と言われていましたが、投資していた人とそうでない人の間には今回の上昇で大きな差が生まれました。ここでは、恩恵を受けた人・受けられなかった人、そして今後の考え方を整理します。
マネーセンスの結論(1:28)
結論から言えば、日本株式もやはり必要です。特に長期投資においては、アセットアロケーション運用が必要です。そのアセットには日本株式も含まれますので、日本株式にも当然投資してほしいとお話ししてきました。これはずっと前から言い続けていることです。
日本株式は必要なのですが、では過去を振り返って、現状をどのように総括できるのかについてお話ししていきます。
過去の振り返りから現状を総括する(2:02)
2025年10月31日の日経新聞の記事によると、「高市相場」として、10月の上げ幅が最大となり、初めて5万2,000円台に到達したことがニュースになりました。10月の上げ幅だけで年間の目標リターンを超えてしまうほどの勢いでした。
2年来で見ると、騰落率は25.81%となっています。撮影時点での価格は4万9,453円でしたが、ピークとしては5万2,411円34銭という過去最高値を記録しました。今後もこのピークを徐々に更新していくのではないかと思いますが、もちろん未来のことは分かりません。とりあえず過去はこのような形になりました。
日経平均に投資されていた方は、その割合がいくらであれ、この25%強の上昇の恩恵を受けられたことになります。
恩恵を受けられなかった人(3:30)
この株高に対して全く恩恵を受けられていない方が一定数います。
まず1つ目は、投資をしていない方です。20年前から私たちは「投資をする人としない人の格差は広がる」と伝えてきました。
年収が少ない、月収が少ないという理由で「投資するお金がない」と言う方も多いのですが、それでも投資はできます。家計を整えることから始めれば、本当にわずかであったとしても、そのパワーは時間をかければものすごいものになります。
投資ができないというよりも、そのやり方が分かっていないだけだと思います。家計の整え方を学び、金額ではなく割合で投資することで、数千円であったとしても投資は可能です。それであれば、今回の恩恵も少なからず受けられていたはずです。
株価が上がっている要因の1つとして、インフレが挙げられます。総務省が発表している消費者物価指数によると、総合指数は前年同月比で2.9%、生鮮食品とエネルギーを除くコア指数では3%の上昇となっています。デフレの時期から見ると3%は高く感じるかもしれませんが、実は問題はインフレそのものではありません。
本当の問題は実質賃金の低下です。厚生労働省が出しているデータによると、2020年を100とした場合、2025年は92.7となっており、100を切っています。デフレの時期でも実質賃金はどんどん下がっていたことが分かります。この実質賃金が全然上がっていかないという経済構造、社会構造が問題なのです。
インフレであってももらえるお金が増えていれば問題ありません。しかし、ピークを見てみると、1995年か1996年頃からずっと下がり続けています。失われた30年と言われる期間、政権交代もありましたが、どの政権でも実質賃金は下がり続けました。
この実質賃金は、国民が豊かさを感じる唯一のものと言ってもいいでしょう。これが下がっているという時点で、政策が間違っていたと言わざるを得ません。国民の怒りを買って、現在は与党が過半数割れという状況になっています。
今後の政治に期待したいところですが、これが問題です。賃金が上がっていかない、実質賃金が上がっていかないため、物価が上昇しているのに賃金が上がらず、去年まで買えていたものが買えなくなっています。給料も上がっていかないので、買うものも少なくなり、その中で投資なんかできないという方が一定数いらっしゃるのも頷けます。
それでも自分の中でやってもらいたいというのが、私たちの情報発信の趣旨です。苦しいのは分かりますが、文句を言っていても世の中は変わりません。実際に今は変わりつつあるわけですから、それに乗っかっていこうという考え方も大切です。
過去のことを悔やむのは簡単ですが、変化についていくことも非常に大事なことです。ようやく金利がある世界、インフレの世界が日本にも戻ってきました。世界が変わったということを認識し、実質賃金を上げていかなければ、持続可能性のある経済発展はできません。これは政府に頑張ってもらいたいところです。
恩恵を受けられなかった、あるいは恩恵が限定的だった方として、S&P500だけに投資をしていた方が挙げられます。この方々は、それまでに十分な恩恵を受けているので、そこまで悲観的ではないかもしれません。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の年初来騰落率を見ると、プラス13.80%となっています。今年1年に関して見れば、日本株式の方が2倍近く成長したことになります。
さらに、恩恵が限定的な人として、オールカントリーに投資している方がいます。日本を除くオールカントリーであれば、S&P500とほぼ同じです。日本を含むオールカントリーの場合、S&P500よりも少しだけ良い結果となりました。
オールカントリーの年初来騰落率は、プラス17.96%となっています。これはS&P500よりも4%程度高い数字です。これは日本株式が入っているからです。さらに、日本株式と同じような動きをした新興国株式が入っているのも1つの要因です。
それでも、オールカントリーやS&P500だけに投資していた場合、日経平均の25%というプラスのリターンは得られませんでした。
2025年3月末現在のオールカントリーの国別構成比率を見ると、アメリカが64.5%、その中で日本は先進国の1つとして4.9%含まれています。新興国が10.3%含まれているため、S&P500との違いが生まれました。この日本と新興国の合計約15%があったから、S&P500よりも若干騰落率が高かったと言えます。
「日本株式だけを買えばいい」が間違いである理由(12:10)
では「今年は日本株式にシフトしておけばよかったのね」と考えるのは、私たちの意見とは異なります。S&P500から日本株式に乗り換えていた方が良かったのではないか、という考え方は間違いです。
なぜなら、結局どこが上がるか分からないからです。さらに言うと、今は円安に進んでいるため、外国資産を持っていたとしても、株価上昇と日本の株価上昇が同時に起こっており、それはそれである程度良いと思います。
今後、例えば消費減税や様々な手取りが増えていくような状況になったり、利上げによって日米の金利差が縮小していくような動きがあれば、円高が一気に起きる可能性もあります。そうなった時、円で生活をしている私たちは、円で増えているか減っているかを見ることになります。外国資産を持っていたとしても、どうなるか分からないのです。
だから、一定程度の日本の円建て資産と呼ばれるもの、つまり日本の株式や日本の債券は、ある程度必要なのです。自分自身が投資をしている対象としては、ある一定数必要だということなのです。
日本株式が良かったから日本株式が当たったね、という当て物をしているわけではなく、こういうようなことも起きるということを教訓にしてください。
なぜ投資をおすすめしているのか(14:38)
やはり投資をしていない状態だと、こういう動きに取り残されてしまいます。「NISAが怖い」「投資をするのは騙されているかもしれない」という方が一定数いらっしゃいますが、お得はお得なのでやってもらったらいいかなと思います。環境も整ってきていますし、100円から投資できます。
投資は金額ではなく「割合」で考えるのがポイントです。手取りのうち、まずは少しずつ貯蓄・投資比率を上げていくことが大切です。
収入の25%を貯蓄・投資に回すことを推奨していますが、最初は数%からでも構いません。重要なのは「始めること」と「継続すること」です。
「投資が怖い」という方もいらっしゃいます。お金を貯蓄していけば確実に数字が増えていくけれども、投資はやはり元本割れも起こります。しかし、この先やはりインフレが進んでいくので、貯蓄しているだけではどんどん目減りしてしまうのです。今仮に100万円あるとして、今後2%のインフレが25年続いていくとなってくると、もう半分ぐらいまで価値が下がってしまいます。
積み立てでやっていけば多少は大丈夫かもしれませんが、それでもやはり目減りしてしまうので、何も動かないことがリスクがないと思っていると、そうではないのです。
まとめ(18:50)
投資はバランスです。よく事業やビジネスを起こされる方は「選択と集中」とお話しされますが、投資は「分散と確率」なのです。その確率もできるだけ高めて、再現性が高い方法で、しかもバランスよく分散して投資していくのがセオリーになります。
投資初心者、また投資に時間を割けない方にとってできる方法はあります。満遍なく投資するということを考えると、アセットアロケーション運用という考え方があります。バランスを取りながら、運用を継続していく、安定的に継続していくという考え方が必要なのです。
今回、恩恵を受けられなかったという方もいると思いますが、満遍なく投資をしていれば全部に投資していますから、恩恵も受けられます。これから先、米国がまた上昇するかもしれませんが、それもまた恩恵を受けられる状況を作っていくと気分がいいでしょう。
安定運用したいという方は本当に多くいると思うので、今からでも遅くはありません。日経平均が上がったから、今度は上がりすぎなのではないかという話もありますが、私はまだまだ上がると思います。日経平均は全然評価されていません。まだ5万円という数字がすごく高いように見えますが、今までよりも一番高いからです。しかし、今の現状の日経平均を見てみると、むしろ正常になったぐらいです。
特にインフレ初期は株価が上がりやすいです。インフレ初期は上がりやすく、上がってから一段階踊り場という状態になって、そこから本領発揮になるのです。だから、今からでも全然遅くないので今始めたいなと思ったら始めてみましょう。
何を買えばいいかということは、当て物をするのではなく満遍なく購入する選択肢があるということです。全く面白みのない投資ではありますが、非常に安定した投資でもあります。
またこちらの動画「【8割の人が投資に不満足 】投資の正解とは?不安を感じる6つの原因と解決策」では、投資への満足度が低い原因とその解決策を丁寧に解説していますのでぜひご覧ください。





