50年後も米国が実質GDP世界1位?それでも米国株一本をおすすめしない本当の理由

50年後の2075年における世界の実質GDP予測が注目を集めています。
日本経済研究センターの予測では、米国が引き続き世界1位を維持するとされる一方で、ゴールドマン・サックスは中国やインドが米国を上回るという真逆の予測を発表しています。

キーポイント

50年後の実質GDPランキング (00:01:18)

日本経済研究センターが発表した2075年の実質GDP予測では、米国が23.3兆ドルから53.3兆ドルへと128.8%の成長を遂げ、引き続き世界1位を維持するとされています。中国は2位を維持するものの、米国には届かない見通しです。

注目すべきは、インドが345%という驚異的な成長率で第3位に躍進すると予測されていることです。ドイツは第4位に後退し、日本は現在の4位から11位へと大幅に順位を下げ、成長率もわずか25.7%に留まるとされています。

新興国の台頭も顕著で、ブラジルやインドネシア、メキシコなどの国々が成長率300%超えを記録し、世界経済における存在感を大きく高めることが予想されます。これにより、米国が1位を維持したとしても、全世界に占める米国の割合は相対的に低下する可能性があります。

米国が世界1位を維持すると試算される理由 (00:04:17)

米国が長期的に世界1位を維持できる理由として、日本経済研究センターは複数の要因を挙げています。

まず、人口動態の安定性が最も重要な要素とされています。米国は他の先進国とは異なり、継続的な人口流入により人口が安定しています。トランプ政権下で移民政策が厳格化されていますが、これは主に中国からの人材流入を制限するためであり、全面的な排除ではありません。優秀な人材は引き続き米国に集まり続けると予想されます。

次に、イノベーションの継続が挙げられます。米国はインターネットの開発やAI技術など、テクノロジー分野での技術革新を定期的に生み出しており、この傾向は今後も続くと考えられています。

さらに、付加価値創造による生産性の向上も重要な要因です。米国は生産性を重視する文化があり、これが経済成長の原動力となっています。

最後に、ベンチャーキャピタルなどの資金供給体制が整っていることも大きな強みです。これらの要因が組み合わさることで、米国経済の持続的な成長が期待されています。

ゴールドマン・サックスの予想 (00:07:58)

一方、ゴールドマン・サックスは2022年に発表した予測で、全く異なる見解を示しています。同社の予測では、中国が第1位で57兆ドル、インドが第2位で52兆ドルに達し、米国は第3位の51.5兆ドルになるとされています。

この予測では、中国は34.6兆ドルでは止まらず、50兆ドルを超える成長を遂げるとしています。インドについても、日本経済研究センターの13.8兆ドルという予測を大幅に上回る52兆ドルまで成長すると予想されています。

日本についても、ゴールドマン・サックスは7.5兆ドルまで成長すると予測しており、日本経済研究センターの4.4兆ドルよりも楽観的な見通しを示しています。

これらの予測の違いは、長期予測の不確実性の高さを物語っています。どちらの予測が正しいかは50年後にならなければ分かりませんが、重要なのは世界全体が成長し続けるという点では一致していることです。

1位は予測できない (00:13:28)

50年後の世界経済における1位を正確に予測することは非常に困難です。その中で私達が取りうる手段としては1位を狙うよりも、全世界に分散投資することで平均的なリターンを狙う方が現実的です。

実際に、オールカントリー(全世界株式)の平均リターンは約9%とされており、これに対して全世界投資での実際の運用では7%程度のリターンを達成しています。2%の差はありますが、20年から30年、さらには50年という長期間で考えれば、7%でも十分に人生を支えるリターンになると考えられています。

この7%という数字は、リーマンショック、チャイナショック、コロナ禍を経験した21年間の実績に基づいています。様々な危機を乗り越えながらも安定したリターンを実現していることから、決して悪くない成績だと評価されています。

重要なのは、どの国が1位になるかを予測することではなく、世界全体の成長に参加することです。米国、中国、インドのどの国が1位になったとしても、世界全体への投資であればその成長の恩恵を受けることができます。

まとめ

50年後の世界経済予測には大きな不確実性が伴います。日本経済研究センターとゴールドマン・サックスの予測が大きく異なることからも、長期予測の難しさが伺えます。

しかし、共通して言えるのは世界経済全体が成長し続けるということです。どの国が1位になるかを予測して特定の国に投資するよりも、全世界に分散投資することで、外れても大きな損失を被らない安定的な投資戦略を取ることが重要です。

アセットアロケーション運用における全世界投資は、このような不確実性の高い環境において有効な回答の一つと言えるでしょう。時代の変化に合わせて投資配分を調整しながら、世界全体の成長に参加することが、長期的な資産形成において最も現実的なアプローチと考えられます。

またこちらの動画「【インド株投資】新NISAでインド株が人気!米国株を超える成長率 それでも全世界投資を続ける理由【きになるマネーセンス920】」では、インド市場の成長ポテンシャルとリスク要因、そしてインデックスを通じた戦略的投資手法について詳しく解説していますのでぜひご覧ください。