【2025年最新】株式と債券の相関関係が崩れた?今こそ見直す最強のアセットアロケーション戦略
本記事では、「株式と債券の相関関係が崩れている現在は、ドルが死ねば円も死ぬんだから、気絶オルカン積み立てと貯金の2本立てで良いんじゃないですか。」とのコメントをもとに株式と債券の相関関係に着目しました。
過去の経済状況や最新のデータ(2025年時点のGPIF資料)を参考に資産運用におけるリスク分散の実践的な考え方を解説します。
キーポイント
株式と債券の関係(00:01:12)
近年「株式と債券の相関関係が崩れているのでは?」という疑問が投資家の間で持ち上がっています。これは、相関が低いとされていた株式と債券が、同じような値動きを見せる場面が増えているためです。
株式と債券は、経済の好不況に応じて異なる動きをする金融商品です。一般的に好景気には株式が強く、不景気には債券が強いという特性があります。
この性質を活用して、投資家は景気サイクルに応じて資産をシフトさせることにより、リスクを抑えつつリターンを最大化する戦略を取ることが可能です。
好景気では企業業績が改善し、株価が上昇します。この時期に株式で得た利益を、不景気時に備えて債券へと移す戦略が基本です。逆に、不景気時に債券を売却して割安となった株式を買い戻すという流れが王道です。
このように異なる値動きをする2つの資産における「相関関係」は希薄です。しかし、最近、とりわけコロナ禍以降は、この関係に変化が見られ、逆に相関関係が高くなりました。
株式と債券が同時に下落するという異常な相場が一時的に発生しました。これは従来の「逆相関」の常識を揺るがすものでした。結果として分散投資の効果に疑問が持たれるようになりました。
リーマンショックの時にも同様の現象が見られました。市場全体が恐慌状態に陥ると、安全資産とされる債券すら売却されることがあります。これは、流動性確保のために現金化する動きが広がるためです。
相関係数の基礎理解と誤解の正体(00:03:03)
相関係数は、2つの金融商品の値動きの関係性を示す数値です。一般的に、分散投資の効果を確認するためには、この相関係数が重要な指標となります。
相関係数の範囲は、「-1.0〜+1.0」までと決まっています。
- +1.0:完全に同じ動きをする(例:同じ商品)
- 0:全く無関係な動きをする(基本的に存在しない)
- –1.0:正反対の動きをする(例:一方が上がるともう一方が下がる)
資産運用では、「異なる動きをする資産」を組み合わせることでリスクを分散できます。例えば、株価が下がったときに債券が上がれば、ポートフォリオ全体の下落幅を軽減できます。
「相関係数がマイナス1に近づくほど、分散効果は大きくなる」というのがポイントです。相関が高すぎる商品ばかりでポートフォリオを構成してしまうと、意味のあるリスク分散にはなりません。
まず、初心者の方も「値動きが似ていない資産を組み合わせるとリスクが下がる」という基本だけ押さえておけば十分です。時間軸や経済状況によって相関関係は変化するため、定期的な見直しも重要です。
GPIFのデータで見る相関関係の変化(00:05:48)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、日本最大級の機関投資家として年金資産を世界中の様々な資産に分散して運用しています。その公開データは個人投資家にとっても非常に参考になります。
GPIFが発表した2020年と2025年の相関係数を比較することで、市場の変化とそれに伴う資産の動き方の違いを視覚的に捉えることができます。
2020年の相関係数 | 2025年の相関係数 | |
国内債券と外国債権 | 0.290 | 0.073 |
国内債券と国内株式 | -0.158 | -0.254 |
国内債券と外国株式 | 0.105 | -0.125 |
これらのデータは、債券と株式の相関が全体的に下がっており、「本来の分散効果が戻りつつある」ことを示唆しています。
マイナス1に近づけば近づくほど、逆の動きをしやすくなるため、資産運用上は有利です。特に債券と株式の関係が逆相関になりつつあることは、ポートフォリオのリスクヘッジに効果的であることを意味します。
相関性の変動には為替も影響しています。例えば、外国債券と国内株式が同じような動きをするのは、円安が影響している可能性が高いです。このように、「構造的な背景」を理解することが、相関係数の活用には欠かせません。
外国株式に対して相関が低いもの(00:12:00)
外国株式に対して相関が低いのは、国内債券になります。
今後のアセットアロケーションを考えるうえで、国内債券の役割や有効性をどう捉えるかは極めて重要です。特に日本の金利政策やインフレ傾向は、債券投資に直接的な影響を与えるため、情勢の変化に応じた柔軟な対応が求められます。
2025年時点では、日銀が段階的な利上げ姿勢を見せており、年内に1回から2回の利上げが予測されています。一般的に金利が上がると債券価格は下落するため、固定金利型の債券は価格面で不利になります。
このような環境下で国内債券を加えるとするならば、個人向け国債(変動金利型)や現金・預貯金といった変動金利の資産を一定割合で保持するのが良いでしょう。。
その意味で冒頭のコメントにある「気絶積立(積立投資を気にせず継続する)」と「(日本円建て)貯金」という考え方は正しいです。世界に分散投資されている株式のファンド1本+預貯金で最低限のアセットアロケーション運用は満たしていると考えられるでしょう。一方で、「オルカンだけで本当に良いのか?」という視点も重要です。リスク分散の観点からは、新興国や金、日本株式などまんべんなく分散したほうが良いかもしれません。
リバランスの力(00:17:01)
投資に債券を加えると、リバランスができるようになります。
株式や現預金、債券など、ただ分散させるだけではなく、一定のバランスを決めて保つことが大切です。
例えば、以下のようなシンプルな構成でも、分散効果とリバランスの恩恵を受けることができます。
- オルカン(全世界株式インデックス):50%
- 現金・預貯金:50%
この比率を年に1回見直し、オルカンが上がりすぎた年には一部を現金に戻し、逆に下がった年には現金から買い増す。この行動によってリバランスの効果が生まれてきます。
まとめ
本記事では、株式と債券の相関関係の変化を中心に、分散投資とアセットアロケーション戦略の現代的な見直しについて解説しました。
最後に、より深く分散投資やリスク管理について学びたい方には、マネーセンスカレッジの公式コンテンツや会員制サービス「チーム7%」のご利用もおすすめします。
将来の安心に向けて、今日から一歩ずつ、正しい投資判断を始めていきましょう。
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