暴落や反対意見に動揺せず長期投資を行っていくための新NISA活用法


最近のトランプショックのように株価の急落があると、必ず「新NISAはやめた方が良い」という意見が聞かれます。
本記事では、このような新NISA反対派が主張する「新NISAの4つのデメリット」対する投資家視点の反論をもとに、「投資とは何か?」「損切りやナンピンは本当に必要か?」というテーマをわかりやすく解説していきます。

新NISAを活用した長期投資に関心のある方や、損切り・ナンピンといった言葉に不安を感じている初心者の方に向けた内容です。

キーポイント

反対派が主張する新NISAのデメリット①損切りからの買い戻しがしにくい(00:01:09)

損切りとは、株価や投資信託の価格が買った時より一定割合下がった場合に、それ以上損失を広げないように売って損失を確定させることを意味します。

反対派が主張する「損切りからの買い戻しがしにくい」というのは、以下の理屈です。
損切りして売った株などを価格上昇の前に買い戻すことを考えた場合、新NISAの年間の成長投資枠が240万円のため、1年の内で買って売ってまた買うという行為を一定額(120万円)以上ではできなくなるというものです。

この主張への反論は、「そもそも長期投資に損切りは存在しないため、前提が間違っている」ということです。長期投資では目先の損得にこだわって頻繁に売り買いすることはないので、損切りという概念がないのです。

すでに売ってしまったという人は、余ったNISA枠で買えばよいでしょう。枠が足りなければ、その分は特定口座で購入して翌年に売り買いをして新NISAに入れればよいでしょう。

反対派が主張する新NISAのデメリット②ナンピンがしにくい(00:04:09)

ナンピン買いとは、株価や投資信託の価格が下落した際に、同じ銘柄を追加で購入することで平均取得単価を下げ、価格が戻った際に利益を出しやすくする手法です。これは一見合理的に思えますが、マネーセンスカレッジでは明確に否定しています。

なぜなら、長期的な視点で資産形成を行う際、価格の上げ下げに一喜一憂すること自体が目的にそぐわないからです。

マネーセンスカレッジの投資は言わば「毎月全力投資」という考え方です。これは、得られる資金(たとえば給与)のうち投資に向かえるお金をその都度、全額投資に回すスタイルを指します。給与は一定なので投資に回すお金の割合も一定のほうがやりやすいため、一定金額を一定間隔(毎月)で購入しています。

結果的に下落局面でも一定額を買い続けるため、ドルコスト平均法(定額積立投資)と似たような効果が生まれますが、意図してナンピンをしているわけではありません。

このように「ナンピンがしにくいから新NISAは使いにくい」といった意見は、短期的な価格変動を狙った投機的な視点によるものです。長期投資を前提とすれば、むしろ価格の上下に影響されず定額投資を継続することが重要となります。

反対派が主張する新NISAのデメリット③損益通算ができない(00:07:57)

損益通算とは、利益と損失を相殺して課税対象額を減らす制度です。たとえば、ある銘柄で50万円の利益が出た一方、別の銘柄で30万円の損失が出ていれば実質的には20万円の利益として課税されます。

しかし新NISAは「非課税」であるため、そもそも利益に対する課税が発生しません。よって損失も「なかったもの」として扱われ、通算対象にはならないというわけです。

つまり新NISAにおける「損益通算ができない」は制度上当たり前のことであり、むしろ利益が出ても税金がかからないという大きなメリットに注目すべきです。

反対派が主張する新NISAのデメリット④損失繰越ができない(00:09:45)

損失繰越とは、特定口座で出た損失を確定申告することで翌年以降の利益と相殺し、最長3年間にわたって税金を減らせる制度です。しかし、新NISAでは非課税のため、そもそも損失が「ない」ものとされ、繰越対象になりません。

短期的な価格変動で損益を出し、その帳尻を合わせるような方法は投機的アプローチです。一方、新NISAについて金融庁は長期投資と積立を推奨しており、それを前提とするとそもそも1年という短いスパンで急いで売る必要はありません。

投機と投資(00:13:14)

投資とは、「資産にお金を投じること」です。

投機とは、「機会にお金を投じること」です。

投機の機会とはタイミングのことです。短い期間でタイミングを見計らって売り買いを繰り返し、利益を得るのが投機ですが、これは専門的な技能が必要なため一般の素人投資家には不向きです。

上記の4つのデメリットを主張する人たちは、投機を目的としているといえます。

一方投資は、長期間に渡って利益を生み続けるものにお金を投じる(これが「資産にお金を投じる」ということ)ので、損切りともナンピンとも無縁です。専門的技能を必要としない、買ったらそのまま「バイアンドホールド」するという考え方が基本です。

持っている間に資産が成長し、利益を生み続けるため、その積み重ねを手にするのが目的です。

我々がやっているのは「投資」(00:17:13)

「投資」は、値段が上がっているから利益をもらうのでも、値段が下がっているから買うのでも売るのでもありません。その対象とする商品が、生み出すものに魅力を感じて買うわけです。

そのためには、魅力を生み出すための期間が必要になります。とても1日2日という短期間では無理です。
一年で結果を求めるというのではなく、さらに長期間持ち続けることで緩やかではありますが、価値が上昇してその魅力(利益)を享受できるのです。

まとめ

本記事では、新NISAに関する「損切りがしにくい」「ナンピンができない」「損益通算できない」「損失繰り越しできない」といった短期的な視点での懸念に対し、長期投資の観点からそれらがそもそも的外れであることを解説してきました。

すべての疑問や不安は、投資と投機の違いを理解することで解決します。価格のタイミングで売買を繰り返すのではなく、「成長する資産にお金を投じ、持ち続ける(バイハンドホールド)」ことが本来の投資です。

新NISAは、そんな長期投資を後押しする優れた制度であり、使い方を誤らなければ誰でも資産形成を進められる可能性を秘めています。

損切りやナンピンといった投機的な視点ではなく、長期的に価値を生む資産に向き合い、自分に合った投資を続けてください。

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