金融所得課税30%問題!総合課税化前に考えるべきこと

最近、日本の税制改革の中でも「金融所得課税30%」の話題が大きな関心を集めています。特に国民民主党が提案した「金融所得課税の30%への引き上げ」が注目され多くの国民から反発が起こりました。この背景には「1億円の壁」と呼ばれる税負担率の問題がありそれが格差拡大につながっているとされています。

本記事では金融所得課税30%の問題点、1億円の壁の本質、NISAやiDeCoなどの制度の使い勝手、そして今後の税制改革に必要なポイントについて詳しく解説していきます。

キーポイント

金融所得課税30%への議論の背景とは? (00:00:00)

金融所得課税の増税案が浮上したのは国民民主党が「金融所得課税を30%に引き上げる」と発表したことがきっかけでした。この発表はSNSを中心に大きな議論を巻き起こし多くの反発の声が上がりました。

特に問題視されたのは従来の税制改革の方向性と矛盾している点です。例えばこれまでの政策では「基礎控除を引き上げ手取りを増やす」という方向性が示されていました。しかし今回の金融所得課税の引き上げは結果的に手取りを減らす方向に進むため国民の期待を裏切る形となったといえるでしょう。

さらにこの問題の根本には「1億円の壁」と呼ばれる税負担率の逆転現象がありました。所得が1億円を超えると税負担率が下がるという現象が起こっておりこれが格差の拡大を助長していると指摘されています。この問題を是正するために政府は金融所得課税の引き上げを検討してきましたが過去にも同様の提案がなされるたびに国民の反発を受け実現には至っていません。

今回の増税案も結局は「国民の理解を得られないまま押し進められている」という点で過去の提案と同じような批判を受けているのです。

1億円の壁とは?税制の問題点を解説 (00:01:41)

出典:第17回 税制調査会(2022年10月4日)財務省説明資料(個人所得課税)

1億円の壁とは所得が1億円を超えると税負担率が下がる現象のことです。日本の税制では所得税に累進課税制度を採用しており所得が増えるほど税率も上がる仕組みになっています。現在の最高税率は45%で住民税を加えると最大55%になります。

しかし1億円を超えると税負担率が下がる理由は「金融所得が多くを占めるため」です。金融所得は分離課税となっており一律20%(所得税15%、住民税5%)が課される仕組みになっています。そのため給与所得が中心の人は累進課税で高税率になる一方で金融所得が多い人ほど税負担が軽くなるという逆転現象が起こります。

この税制の歪みが「1億円の壁」の原因となり格差の拡大を助長しているのです。そのため金融所得課税の引き上げが議論されるのは理解できる部分もありますが問題はその対象がどこまで及ぶのかという点にあります。

社会保険料の問題 (00:05:43)

「1億円の壁」だけではこの問題の中身が見えてきません。所得税負担の問題に加えて社会保険料の問題が低所得者層が苦しむ原因になっています。

所得税に社会保険料を加えた負担率を見てみると低所得者層でも約20%弱の負担があります。所得が上がるごとに負担率も上がっていきますが、所得金額1億円の約28%以降から急激に下がっていきます。

これは社会保険料の査定に金融所得が反映されていないことが背景にあり、社会保険料を加味して考えると、その不公平感や歪みがより際立つことが理解できるでしょう。増税による不公平感や税制の歪みを考える際はこの点も頭に入れておく必要があります。

なぜ金融所得課税の増税に反対意見が多いのか (00:07:22)

  1. 金融所得課税の引き上げには多くの反対意見が寄せられています。批判が集まっているのは「一律」に課税率を引き上げるという点です。

一律増税にした場合、1億円以上の富裕層だけでなく一般の投資家や資産形成を目指す人にも影響を与えるため不公平感が生じます。

NISAなどの非課税制度があるのでよいのではという考え方もありますが、現在のNISAやiDeCoは使い勝手が悪く資産運用の自由度が制限されているのが現実です。

イギリスのISA制度では一度枠内に資金を入れれば自由に売買が可能で非課税の恩恵を受けられます。しかし日本のNISAは制限が多く特に成長投資枠や積立投資枠といった枠組みが煩雑だという問題があります。

またiDeCoは購入できる金融商品の選択肢が少なく企業型DCも変更が難しいなど利用者にとって不便な点が多々あります。

これらの制度や資産運用の教育・情報提供などの環境が十分に整備されていない状態で増税を進めるのは国民の理解を得られにくいのは当然でしょう。

公平な税制を目指すには?必要な改革とは (00:17:29)

金融所得課税の増税が必要ならばまずは1億円以上の所得を持つ層をターゲットにした段階的な課税を導入するべきと考えます。またNISAやiDeCoの制度を改善し誰もが公平に資産形成を行える環境を整えることが先決でしょう。

まとめ

金融所得課税30%の増税案は税制の公平性を高める目的がありますが一律増税による影響が大きく多くの国民の反発を招いています。まずはNISAやiDeCoの改善、1億円の壁の是正を優先し段階的な課税制度を導入することがより現実的な解決策ではないでしょうか。

またこちらの動画「【年収の壁】106万円の壁撤廃で手取り20万円減?家計を圧迫する社会保険料の落とし穴!」では、いわゆる「106万円の壁」について解説しています。

こちらの動画「【石破おまえもか!?】国が金融所得課税を引き上げたい本当の理由」では、1億円の壁について詳しく紹介していますのでぜひ合わせてご覧ください。