2026年最新:イラン戦争で世界景気後退?世界経済の「3つのシナリオ」
イラン戦争によって世界経済が後退するのではないかという懸念が広がっています。今回はIMFの最新の経済予測をもとに、世界経済の今後について解説します。
マネーセンスカレッジの「全世界投資」の根本的な考え方は「世界の経済成長に乗っかろう」というものです。まずはその世界の経済成長と株式の関係について整理しておきましょう。
世界の経済成長と株式の関係(0:48)

出典:IMF
オルカンに採用されているMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)と、世界のGDP成長率を重ね合わせたグラフを見ると、両者は概ね連動しているように見えます。さらに言えば、GDPの成長率よりも株価の成長率の方がやや高い傾向にあります。これはトマ・ピケティが示したr(資本収益率)とg(経済成長率)の関係、つまり「rはgを常に上回る」という法則とも一致しています。長期的に見れば、世界の経済成長以上に株式市場は成長してきたわけです。
この法則が成り立たなかった例外は第1次世界大戦と第2次世界大戦の2度だけです。それ以外の期間においては、世界の株式市場は右肩上がりで、しかも複利効果を伴いながら成長を続けてきました。株価とGDPの間に因果関係があるかどうかについては議論の余地もありますが、企業活動によって富が生み出され、それが付加価値として社会に還元されるという構造を考えれば、両者がリンクするのは自然なことです。
世界の経済成長率予測(3:24)

出典:IMF
IMFが2026年4月時点で発表した世界経済成長率の予測では、2026年の全世界の成長率は3.1%とされており、前回予測から0.2ポイントの下方修正となりました。地域別に見ると、米国は上昇傾向にある一方、中東は大きく下落しています。その他の多くの地域は2〜4%程度の成長を維持しており、世界平均としては3.1%という水準です。
先進国を個別に見ると、米国は2.1%から2.3%へと上昇が見込まれています。ドイツは小幅に増加、フランスはほぼ横ばい、イタリアやスペインも緩やかな低下が予測されています。日本については1.2%から0.7%への下落が見込まれており、厳しい見通しとなっています。
一方、新興国・発展途上国では、中国が5%前後、インドが6.5%という高い成長率を維持する見通しです。ロシアは戦争中ながらも1.1%のプラス成長が予測されています。また、原油関連の恩恵を受けるブラジルやメキシコも比較的堅調な推移が見込まれる一方、サウジアラビアは4.5%から3.1%へと急落する見通しです。
前回予測との差分を見ると、2026年は世界全体でマイナス0.2%の下方修正となりました。先進国は概ね横ばいですが、米国・ユーロ圏・中国・カナダはやや下向きの修正が入っています。一方でメキシコ・ブラジル・ロシアはプラス修正となっています。2027年についてはほぼ横ばいで推移する見通しですが、ユーロ圏は引き続きマイナス修正となっており、2026年に上振れした反動が出る可能性も示唆されています。
なお、今回のIMFの予測は「参照シナリオ」であり、今回の混乱が一時的なものに留まり収束するという前提で作成されたものです。これよりも悪化するシナリオについても、別途想定されています。
世界経済の「3つのシナリオ」(7:06)
世界経済の見通しを「参照」「悪化」「深刻」の3つのシナリオに分けて整理します。参照シナリオでは、イラン戦争が一時的な混乱に留まり、数週間で事態が収束して今年の後半には落ち着くことを想定しています。
悪化シナリオでは、原油価格が2026年4月〜6月に80%上昇し、2027年にかけて20%の上昇が続く見通しです。インフレ率も一時的に大きく跳ね上がる可能性があります。景気後退リスクは高まるものの、回避は可能とされており、金融政策としてはインフレ抑制のための金利高止まりが想定されています。
深刻シナリオでは、石油関連の供給が途絶えるケースを想定しており、ナフサなどの原材料が届かなくなることで製造業が機能しなくなる恐れがあります。原油価格が100%上昇すれば、ガソリン価格が1リットル160〜200円を超える水準になる可能性もあります。インフレは高水準に達し、先進国でも一部地域では2桁台のインフレが現実味を帯びてきます。このシナリオでは世界的な不況に陥る可能性があり、金融政策も長期的な引き締めが必要になるため、回復までに相当な時間がかかることが予測されています。
ただし、重要なのはこれら3つのシナリオすべてにおいて、世界の経済成長率がマイナスになっていないという点です。深刻なシナリオでも成長率は2.0%のプラスが維持されています。イラン戦争が勃発し、石油関連の供給が途絶えるような状況であっても、世界経済はプラス成長を続けるという見通しです。全世界が戦争に巻き込まれた第1次・第2次世界大戦のような極端な状況にならない限り、世界経済は成長し続けるものです。
どちらに転んでもいいように備えておくのが投資家(11:07)
先進国が伸びても新興国が伸びても、どちらに転んでも対応できるように備えておくのが投資家としての姿勢です。足元ではインフレの影響が強く出ており、食品価格の上昇や原材料不足による業務への支障が現場レベルで発生しているという声も聞かれます。それでも、世界経済は成長を続けます。
現在、日本の投資家の間ではオルカンが非常に人気で、NISA経由で購入されている銘柄の過半数がオルカン関連という統計データも出ています。しかしオルカンは先進国の比率が約9割を占め、新興国の比率はわずか1割程度です。先ほど見たように、新興国の経済成長率は先進国の倍以上に達しており、現時点でも新興国市場は上昇を続けています。
今後10〜20年の長期的な視点で見れば、先進国と新興国の経済的な立場が逆転していく可能性は高く、先回りして新興国への投資比率を高めておくことも選択肢の一つです。もちろん、政治的・イデオロギー的な理由から中国への投資を避けたいという考え方もあります。ただ、現実として中国は今もプラス成長を続けており、経済の実態から目を背けることは難しいところです。
理論に基づいた資産分散こそが、インフレや地政学リスクに対応しながら購買力を維持・向上させるための鍵です。オルカン1本で問題ないと確認した上でそれを選ぶのであれば問題ありませんが、世界の経済成長に幅広く乗っていくという観点から、自分のポートフォリオのバランスを今一度見直してみることも検討の価値があるでしょう。
またこちらの動画「イランショックの暴落で「資産を守れる人」と「投売りする人」の差」では、イラン戦争ショック時の実データをもとに、下落局面で資産を守る分散投資の考え方を解説していますのでぜひご覧ください。





