日経平均、過去3番目の下げ幅。長期投資の罠「長く持つほどリスクが大きくなる」

2025年3月9日、日経平均株価が約4,200円下落し、過去3番目の下げ幅としてニュースで大きく取り上げられました。今回の下げの背景には中東情勢の悪化があります。イランへの攻撃が続く中、ホルムズ海峡が事実上閉鎖状態となり、原油高を引き金に幅広い銘柄に売りが出た結果、日経平均は下落しました。

2月後半には58,000円程度まで上昇し、6万円を超える勢いもありましたが、ここで一転下げに転じた形です。ただ、5年後のスパンで見れば上昇している状態であり、長期的な視点に立てばさほど大きな話ではないとも言えます。

日経平均、過去3番目の下げ幅について(1:21)

終値ベースで2,892円12銭の下落、率にして5.2%の下げとなりました。2024年8月5日以来、約1年7ヶ月ぶりの大きな下げ幅として報道されており、日本経済新聞社もこれを過去3番目の下げ幅として取り上げています。しかしこうした表現が繰り返されることには疑問を感じるところです

相場は金額ではなくパーセンテージで見る(2:31)

下落幅の上位20件を見ると、1位は2024年8月5日の4,451円28銭の下落で、この日の終値は31,458円でした。今回の下落幅はこれより小さく、分母となる株価水準が異なるため、円の金額だけで比較することには意味がありません。

下落率のランキングで見ると、1987年10月20日の14.90%、2024年8月5日の12.4%、2008年10月16日の11.41%といった数値が上位を占めており、今回の5.2%は上位20位にも入りません。

投資家として相場を見る際には、常にパーセンテージで捉えることが重要です。夕方のニュースやラジオでは「何円下げた」という表現が使われますが、これは消費者的な見方です。証券会社の画面には必ずパーセンテージが表示されており、「4,200円下げた」という数字を見たときに頭の中で「これは何パーセントにあたるのか」と変換する習慣をつけることが、投資家としての基本的な感覚を養うことにつながります

長期で投資すればするほど価格変動は大きくなっていく(8:14)

「長期投資はリスクが低い」と耳にすることがありますが、これは正確ではありません。期間が長くなるほど、価格の変動幅は大きくなります。1日の値動きより1年の値動きの方が大きく、1年より10年の方が大きいのは当然のことで、これが逆転することはありません。

ただし、その増え方は単純な比例ではなく、概算で期間のルートに比例して大きくなるといわれてます。たとえば年間200営業日とすると、1日の平均変動率に√200(約14倍)をかけることで年間の変動率の目安が得られます。5年なら√5(約2.2倍)、10年なら√10(約3.16倍)です。10年投資しても変動幅は1年の約3倍程度にとどまり、直線的には増えていきません。

長期投資でリスクがなくなるわけではなく、絶対的な価格変動幅は時間とともに大きくなり続けます「長期投資はリスクが低くなる」という説明は、厳密には誤りです。

変動を抑えたいなら資産分散(15:56)

株価は長期的に見れば上昇してきた歴史があります。アベノミクス開始以来、日経平均はおよそ8倍になっています。上がる回数や上昇率が下落を上回り続けてきた結果であり、長期で保有することの強さはここにあります。

とはいえ、株式だけに集中投資していると、大きな下落時には資産全体が大きく揺れます。変動を抑えるためには資産分散が有効ですGPIFは半分を債券で運用しており、株式の比率は25%程度です。仮に日経平均が5%下がっても、全体の資産への影響は1%強にとどまります。長期投資、資産分散、時間分散の3つを組み合わせることが、初心者でも投資を継続できる土台となります。

リターンは複利効果によって指数曲線的に増えていく(19:17)

リターンは複利効果によって指数関数的に増えていきます。一方、リスク(価格変動幅)は期間の平方根に比例して大きくなるにとどまります。つまり時間が経つほど、リターンの伸びに対してリスクの伸びは相対的に小さくなっていきます。

投資の世界はパーセンテージで動いています。マイナス10%の後にプラス10%があっても元の水準には戻りません。10%下落した後に元に戻るには11.11%の上昇が必要です。こうした非対称性を理解したうえで、リターンとリスクを常にセットで見ることが重要です。長期投資はリスクが減るわけではなく、リターンに対してリスクが相対的に小さくなっていくという理解が正しい見方です。

長期投資で小さくなるのは元本割れの確率(21:50)

長期投資でリスクの絶対値が小さくなるわけではありません。小さくなるのは元本割れの確率ですリターンが相対的に大きくなることで、損をする可能性が時間とともに低下していきます。

まとめ(22:56)

リスクとリターンの関係については、関連動画でも詳しく解説しています。変動を抑えたいのであれば、長期投資においてリスクは増えていくものの、リターンに対して相対的には徐々に小さくなっていきます。日経平均だけ、S&P500だけといった単一資産への集中投資ではなく、資産分散を取り入れることで価格変動を抑えることができます。長期投資・資産分散・時間分散の3つを組み合わせることが、資産形成を安心・安全に続けるための基本です。

またこちらの動画「《元本割れリスクがなくなる?!》最終的に長期投資が最強である理由」では、リスクとリターンから長期投資の強さを解説するのでぜひご覧ください。

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