こどもNISA爆誕!?つみたて投資枠に新たな投資信託追加も

令和8年度の税制改正大綱が発表され、いわゆる「こどもNISA」が誕生することや、つみたて投資枠に新しい投資信託が追加されるという内容が盛り込まれました。

旧NISA制度のジュニアNISAは使い勝手が悪いということで廃止され、2024年に新NISA制度ができた際には未成年者向けの口座は用意されませんでした。しかし今回、金融業界からの要望を受け、未成年者にもNISA枠を用意することが与党の税制改正大綱に盛り込まれました。

こどもNISAは成人のつみたて投資枠に相当するものとして作られるため、つみたて投資枠で投資ができる商品も増えることになります。

こどもNISAの概要(1:16)

新NISAは18歳未満と18歳以上で制度が分かれ、18歳未満の部分がいわゆる「こどもNISA」に該当し、つみたて投資枠のみが開放されます。

年間の投資枠は60万円まで、月にすると5万円までとなります非課税保有限度額は600万円までで、最短でも10年間の積み立てが必要です。さらに引き出し制限が設けられており、12歳未満までは原則として引き出せず、12歳以降は引き出しが可能となります。

参考までに18歳以上の制度を確認すると、年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合わせて360万円まで投資できます。非課税保有限度額は全体で1800万円まで、そのうち成長投資枠は1200万円までです。

これらは簿価計算方式のため、購入した金額で計算されます。たとえば600万円分購入した資産が1億円に増えていたとしても、全額に対して非課税となります。

子どもの年齢が12歳未満の場合は引き出し不可(3:33)

子どもの年齢が12歳未満の場合は引き出し不可となっていますが、引き出すこと自体は可能ですただし、引き出す場合は全額が課税されます。

例外的に引き出しできるのは、未成年者が居住する住居が災害により全壊した場合、またはそれに類する場合のみという非常に厳しいルールです。このルールに違反して払い出した場合、それまで累積で溜まっていた利益に対して国税15パーセントと地方税5パーセントの合計20パーセントが課税されます。引き出し制限は厳しいため、基本的には引き出せないと考えておくべきでしょう。

子どもの年齢が12歳以降になると引き出しが可能になりますが、一定の書類提出と子どもの同意が必要です。口座の持ち主は子どもですので、12歳以降であっても未成年者である以上、法定代理人と子どもの同意書がセットで必要になります。

引き出し理由は学校の入学金、授業料、その他の教育費、または生活費の支払いと規定されており、比較的緩い基準となっています。ただし、12歳以降18歳未満の間で引き出す場合、手続きは親権者が行うことが明記されています。法定代理人の許可と未成年者の同意という2つがセットになっている点は、適切な制度設計と言えるでしょう。

子どもの年齢が18歳に達した時どうなるのか(7:18)

18歳未満のこどもNISAで積み立てていた資産は、成人になると大人のつみたて投資枠に自動的に組み込まれます。つみたて投資枠の正式名称は「特定累積投資勘定」で、その中に「未成年者特定累積投資勘定」として設定されており、未成年者でなくなれば自動的に通常の特定累積投資勘定に移行します。

つまり、こどもNISAで購入した資産は売却して買い直す手続きをせずに、そのまま運用を続けることができます。旧NISAから新NISAへの移行手続きは煩雑でしたが、こどもNISAは何もせずに新NISA制度へ移行される便利な仕組みになっています。

こどもNISAの運用はいつからなのか(9:11)

こどもNISAはまだ税制改正大綱の段階で法律は成立していません。来年以降の国会で予算を組んで法律が作られますが、衆議院で与党が過半数を取っているため、基本的には通過すると考えられます。

税制改正大綱によると開始は2027年1月以降となっており、来年は間に合わず再来年からの開始となります。かなりタイトなスケジュールで進んでいくことになるでしょう。

つみたて投資枠に新たな投資信託を追加(10:20)

つみたて投資枠で購入できる商品にも変化があります。国内の株式指数として、読売株価指数(読売333)とJPXプライム150指数が追加されます。読売333は等ウェート方式で、時価総額加重平均や修正平均とは異なる指数です。さらに海外の先進国や新興国の株式指数で構成された投資信託も新たに加わりますが、具体的なインデックスは今後の発表待ちです。

債券ファンドの単体購入は以前から認められていませんでしたが、運用資産の50パーセント以上が債券のバランス型ファンド等が認められることになりました幅広い世代のニーズに応えるための措置で、こちらも2027年からの開始予定です。

税制改正大綱に記載がないもの(13:05)

金融業界から要望があったものの、税制改正大綱に盛り込まれなかった項目もあります。非課税保有限度額の当年売却分が当年中に復活する仕組みは、日本証券業協会などが提言し、金融庁も3大要望として記載していましたが、今回は見送られましたこれは税制改正ではなく運用の問題のため、今後どうなるかは不透明です。

一方、毎月分配型投資信託は採用されないことが決定しました。これは投資家保護の観点から適切な判断と言えるでしょう。

まとめ(14:59)

こどもNISAと呼ばれる未成年者向けの新NISA制度が2027年から始まります。年間60万円、総額600万円までという規模は、以前のジュニアNISAの400万円から200万円拡充されたものです。

ただし、つみたてのみで年間60万円までという制限により、富裕層優遇という批判への配慮も見られます。また、無制限な引き出しを認めると親の資産移転に利用される懸念があるため、一定の制限が設けられました。

使い勝手にはやや制約がありますが、以前のジュニアNISAが18歳まで引き出せなかったのに対し、こどもNISAは12歳から引き出し可能です。小学校から私立に通う場合は6歳から費用がかかるため、小学校期間中の資金は親が別途用意する必要がありますが、中学校以降の教育費や、成人後に子どもに渡す資金として活用できます。

つみたて投資枠では債券ファンドの単体購入が認められなかったため、全世界投資を完全に実現するには工夫が必要です。国内債券、海外債券、国内REIT、海外REITなどは単体で購入できませんが、これらは大きな値上がりを期待する商品ではないため、未成年者口座の特定口座で運用して基礎控除の範囲内で年内に売却・再購入するロールオーバーを行えば、実質的にアセットアロケーション運用が可能です。

税制改正大綱では長期安定的な投資を促進する方針が示されており、GPIFではアセットアロケーション戦略が採用されています。株式のみの運用は好調時は良いものの、市場の下落局面では大きく目減りする可能性があります。分散投資を含む長期投資の仕組みを理解することが重要です。

子どもが小さい家庭にとって、こどもNISAは2027年から十分活用できる制度となります。今から運用方針を検討しておくと良いでしょう。

またこちらの動画「新・株価指数「読売333」が誕生!eMaxis Slimにも採用!日経平均、TOPIXと比較。」では、等ウェート方式を採用した読売333の構成ルールや日経平均・TOPIXとの違いを解説していますのでぜひご覧ください。