日経平均、S&P500最高値更新!日本株はオワコンだったのか?

日経平均やS&P500が相次いで最高値を更新する中、かつて「オワコン」と言われた日本株の実力が改めて注目されています。

投資において重要なのは感情的な判断ではなく、データに基づいた冷静な分析と分散投資の考え方です。果たして日本株は本当にオワコンだったのでしょうか。

スタート(0:00)

日経平均やS&P500、ダウ平均などが続々と最高値を更新しており、株式市場は好調な状況が続いています。昔は日本株がオワコンだと言われた時期もありましたが、現在の状況を見ると、そうした声も鳴りを潜め、日本株も十分に投資対象として魅力的なのではないかという見方も出てきています。

本チャンネルでは5年ほど前のS&P500やビッグテックが大きく進歩している時期から、日本株式もそれほど捨てたものではないという内容や、リスクヘッジとして日本株式も一部取り入れてはどうかという提案をしてきましたこれは過去のチャートから様々な比較を行い、日経平均やTOPIXにおいても良い時代があったことを踏まえ、いつアメリカ株式がどうなるか分からないため、分散投資をしましょうという内容でした。

ニュースの概要(2:09)

日経平均も上昇しており、日本経済新聞でも「日米株が最高値更新」と報じられています。日経平均は初の4万3000円台に到達し、アメリカの利下げ期待支えとなっているとされていますニューヨークダウも最高値の4万5631ドルを記録し、利下げ期待の高まりが背景にあります。

過去には2020年に「日本株式はオワコンなのか」という動画を出し、その後日経平均が3万円を突破した4年前頃にも同様の内容で話をしていました。それらの動画でも述べていたように、当時2万円台だった時期にも、4万円は超えるだろうと予想していました。

5年前からの変遷を紹介(4:16)

「S&P500に比べてオワコンなのか」という動画を出した2020年10月19日からの変遷を見てみましょう。

出典:三菱UFJアセットマネジメント

日経平均株価は、8月22日時点で4万2633円となり、上昇率は86.31%と、ほぼ倍近い上昇を見せています。推移を見ると、2023年まではなかなか上昇しませんでしたが、これは日本のコロナ禍明けが遅れたことが影響していました。しかし、2023年に入ってから急激に上昇し、2025年のトランプショックなどもありましたが、現在は最高値を更新しています。

出典:三菱UFJアセットマネジメント

TOPIXについては、5年前の1617ポイントから現在の3100ポイントまで上昇し、上昇率は93%程度となっています。こちらもほぼ倍の成長を遂げており、日経平均と比較して比較的緩やかに推移しています。

出典:三菱UFJアセットマネジメント

S&P500をドル建てで見ると、当時の3483ポイントから現在の6466ポイントまで上昇し、90.36%の上昇率となっており、TOPIXとほぼ同程度の成長率となっています。

出典:三菱UFJアセットマネジメント

円建てで見るため、人気の投資信託であるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を見てみると、基準価格が10月16日時点で1万2602円だったものが、現在は3万5000円程度になっており、騰落率はプラス173.58%となっています。これは為替の影響で約80%程度が上乗せされた結果となっています。

出典:三菱UFJアセットマネジメント

オルカンについても、5年前の1万1753円から現在の2万9000円程度まで上昇し、騰落率は147.73%となっています。ドル建てで考えると約70%弱の上昇となっており、いずれも上がっていることがわかります。

日本はオワコンだ!と言われていた5年前はなんだったのか?(8:47)

5年前から積立投資を行っていれば、年利回りで2桁を超える成果を得られており、一括投資であれば12%程度の利回りも期待できる状況です。これを見ると、日本株は全くオワコンではなかったということが分かります。

5年前に日本がオワコンだと言われていたのは、単なる感想に過ぎませんでしたデータを見て発言しているのであれば、エビデンスを示すべきです。売られすぎや評価されていないという状況を数字で示し、煽るようなことではなく、現在の数字で考えても4万円はあるでしょうという状況だったのです。

その後、コロナが明けて現在の経済活動が戻り、日本のインバウンドも注目され始め、経済情勢が変化しました。関税などの問題もありましたが、それらを乗り越えながら実際に収益率は上がり、日経平均やTOPIXのEPSも上昇しているため、株価が上がるのは当然のことと言えます。

このようなことを先回りしなければならないわけです。感想を持つことは構いませんが、その理由が何なのかということが重要です。自分自身の意見を持つことは素晴らしいことですが、反対意見もしっかりと聞いた上で、何か組み入れることはないのかという柔軟な姿勢が必要です。

100%の当て物はできない(11:28)

現在蓋を開けてみると、円建てではS&P500の方が伸びているのは事実です。しかし、そちらに投資しておけば良かったというのは、未来から過去を振り返った当て物になるため、誰にも分からなかったことです。少なくとも「オワコン」という表現は適切ではありませんでした

もしS&P500の方が伸びるということであれば、比較してS&P500の方が良いという言い方になりますし、実際にそう言っていた方もいらっしゃいます。いずれにしても、日本株式もそれほど悪い成績ではありませんでした。つまり、当て物はできないということです。

将来のことは誰も予測しかできませんし、その予測も感想ではなく、ファンダメンタルズを見なければなりません。一方で、アメリカ株式は上がりすぎだと言われ始めてから既にかなりの時間が経っています。

人の評価はコロコロと変わりますし、意見も同様に変わります。そのようなものに左右されずに、安定的で継続できる方法を見つけることが重要です。個人投資家として、どのようにしたら良いのかを考えていただきたいと思います。

全体的な把握として見ていくと、日本がオワコンだったというのは嘘でした。日本株式は上がっており、2倍近い成長はオワコンとは言えません。一方で、アメリカが駄目だったかというと、そうでもありません。アメリカの方が伸びていたわけですから、全世界株式(オルカン)に投資していたとしても、円で見れば日経平均やTOPIXだけに投資していたよりも上がっています。これは為替の影響も受けていますが、為替の影響がなかったとしても、ほとんど同じ結果になっていたでしょう。

しかし5年前にこの結果を当てる必要はあるのでしょうか。たとえばトランプ関税がなかったと考えると、今頃円高に振れている状況だった可能性があります。どのような状況も起こり得るのです。このように100%当て物をすることはできません。

投資家にとって重要な考え方(14:04)

だからこそ分散投資が重要なのです日本株式、S&P500、新興国など全世界の株式に満遍なく投資することが大切です。日本円建てで判断する以上、円という視点も必要になります。

S&P500もオルカンも基本的にはドル建てのため、為替の影響を受けます。円高に振れていたら結果が逆転していることも十分にあり得るため、満遍なく投資することが重要です。平均を取ったとしても約100%程度の成長は期待でき、分散投資でも120%程度のリターンは見込めるでしょう。

重要な考え方は、リターンの追求だけでは投資は測れないということです。アメリカが強いことは予測データからも明らかですが、100%アメリカに投資するとリスクを全く見ていないことになります。アメリカ一国のリスクや株価暴落のリスクを考慮する必要があります。

リターンが得られているほど怖いものです。投資では損している時よりも得している時の方が不安になるものです。大きく上がっている時は、それを打ち消すように大きく下がることもあるため、リスクを資産分散で取り入れ、リスクの最小化を目指すことが重要です。

この戦略の強みは再現性の高さです。過去にはアメリカ株式が不調だった時代や、新興国が勢いを持った時代もありました。そんな時でも安定的に収益を重ねていけるのがアセットアロケーション運用の利点です。

世界に満遍なく投資し、日本人に合わせた分散投資で円建ての安定運用を心がける。派手さはありませんが、安定に繋がります。100%の当て物をする必要はありません。20年、30年先の老後資金を見据え、笑顔でいられるドキドキしない投資を目指すことが大切です。

また5年前の動画はこちら「日本株TOPIXは米国株S&P500に比べてオワコンなのか?」で視聴可能ですので、ぜひ合わせてご覧ください。