初心者が絶対に守るべき!NISA活用10の心得

楽天証券が発表した「NISAの使い方10カ条」について、マネーセンスカレッジの視点から詳しく解説していきます。

楽天証券の情報発信は本当に分かりやすく、投資初心者の方にとって非常に参考になる内容となっています。

①まず「つみたて投資枠」から成長投資枠は余裕があれば (1:17)

つみたて投資枠から始めることには2つの意味があります。

まず、NISA制度の設計上つみたて投資枠で600万円以上投資しないと総額1800万円に到達できないため、制度を最大限活用するという観点があります。もう一つは、その名の通り「つみたて」で投資を始めてほしいという思いが込められています。

ただし、注意点もあります。つみたて投資枠で購入できる投資信託は厳選されているものの、非常に限られています。株式のインデックスファンドは購入できますが、債券のインデックスファンドやREIT、金などのコモディティ関連商品は一切購入できません。

この制限により、オルカンやS&P500、日本株式などの株式中心の運用になってしまい、どうしても変動率が高くなります。投資初心者や経験が浅い方にとって、ショック相場では精神的にきつい場面が出てくる可能性があります。

本来の資産分散投資を行うためには、債券やREIT、金なども含めた全世界への幅広い投資が必要です。これらに投資しようとすると成長投資枠が必要になってきます。成長投資枠でも積立投資は可能なので最初から本格的な資産分散投資を取り入れることをお勧めします。

②毎月一定額を積立 収入の10%からが目安 (4:15)

これは諸手を上げて賛成できる内容です。マネーセンスカレッジでも同じことを提唱しています。

毎月機械的に一定金額を積み立てることは非常に効果的です。そして「収入の10%から」という具体的な目安を示してくれているのも素晴らしいと思います。

マネーセンスカレッジでは「クォーターグリッドシステム」で家計を4分割する方法を提案しており、手取りの90%は使って良いが、10%は老後資金のための積立投資に回すべきだとお話ししています

20代の方なら10%で十分ですが、投資を始めるのが遅くなると、その分投資比率を上げる必要があります。30代なら15%、40代なら20%といった具合に、年代が上がるごとに5%ずつ増やしていく必要があります。

最初は100円や数千円から始めても構いませんが、できるだけ早い段階で収入の10%まで引き上げることが重要です。早く始めることで、将来の自分が非常に楽になります。

③NISAで利益を非課税にする 複利効果を加速 (6:00)

これはNISAの基本的な使い方として当然のことです。

利益に課税されてしまうと、その分だけ再投資できる金額が減ってしまいます。NISAで利益を非課税にすることの意味は、売買益の非課税化とインカムゲイン(配当金)の非課税化の2つがあります。

資産形成という観点では、毎月分配型や高配当株を選ばず、配当をファンド内で再投資してくれるインデックスファンドを選ぶことが重要です

配当はファンド内で再投資され、基準価額の上昇に反映されます。必要な時に売却すれば良く、その際の売却益も非課税になります。このように、利益を非課税にするためには配当が出ないファンドに投資することが資産形成には適しています。

④早くはじめる それだけ運用に有利 (7:13)

これは絶対に守ってほしいポイントです。できるだけ早く投資を始めることが重要です。

投資では金額も大切ですが、収入やお金には限りがあるため投資に回せる金額も決まってきます。しかし、投資期間は工夫次第で長くすることができます投資は基本的に期間が長い方が有利で、それだけ複利効果を受けられ資産が大きく成長していきます。

ただし、躊躇するような金額での投資は避けてください。まずは小さく、できるだけ早く始めることが大切です。

「なるべく小さく、なるべく早く」が投資のスタートの鉄則です。

⑤投資先は複数に分ける タイプが異なる資産に分散 (7:59)

分散投資については、タイプの異なる資産に分散することが最も重要です。①で触れた内容と関連していますが、真の分散投資を行うべきです。

バランス型ファンドという選択肢もありますが、バランス自体が固定されており、その決め方も「8資産均等分配」や「4資産均等分配」など、必ずしも最適とは言えません。均等である必要があるのかという疑問もあります。

それぞれの投資家に適したバランスは異なるはずです。バランスが分からない場合は、日本人に最適化した全世界投資のバランスについて、会員制で詳しく解説していますので、興味があれば参考にしてください。

⑥長期で投資を続ける 短期の値下がりは気にしない (8:44)

これも非常に重要なポイントです。長期投資の目安は10年以上と考えてください10年以上先に使う予定のお金について投資に回すことをお勧めします。

皆さんの感覚で言えば、老後資金が最も長期間の投資対象になるでしょう。その次に、お子さんの大学費用などの教育資金が続きます。期間が長ければ長いほど長期投資として有利になります。

短期の値下がりについては気にしても意味がありません。全く気にする必要はありません。これは投資の基本中の基本です。

⑦NISAは必要なら売却 非課税枠は翌年復活 (9:34)

必要な時、つまり資金が必要な支出がある時は、迷わずNISAを売却して使ってください。たとえその時点で赤字になっていたとしても、支払わなければならないものがあるなら仕方ありません。

ただし、投資資金を売却しなくても支払えるような準備も必要です。そのために生活防衛資金をまず最初に貯めることをお勧めしています。

生活防衛資金は生活費の3〜6ヶ月分、一人暮らしなら100万円程度を手元に置いておくことです。これがあれば急な支出があっても、まずは生活防衛資金で対応でき、ボーナスなどで補填すれば投資を売却せずに済みます。

売却する必要がないよう事前に準備しておくことも大切です。

⑧年金目的ならiDeCo 60歳まで引き出し不可 (10:38)

60歳まで引き出しができないという制約はありますが、年金目的、つまり老後資金目的であればiDeCoの方が有利です。

新NISAができた時に「もうiDeCoは不要では?」という声もありましたが、それでもiDeCoの方が有利です

老後資金準備であれば、できればNISAとiDeCoの両方を活用してほしいと思います。ただし、iDeCoのすべてを使えとは言いません。60歳まで使えないことや税制が変わる可能性への不安もあるでしょう。

そのような心配がある場合は、例えば半分ずつにするなど、バランスを取って活用することをお勧めします。iDeCoの方が有利なのは事実なので、可能であればiDeCoも活用した方が良いでしょう。

⑨状況に応じて銘柄を入れ替え 非課税枠復活を活用 (11:32)

これはリバランスのことを指していると思われます。

銘柄の入れ替えとはファンドの銘柄を指しており、インデックスを入れ替えたり、今までオルカン一本で積み立てていたものを分散投資に変更したり債券ファンドを追加したりといった変更を意味します。

知識不足や経験不足で始めた投資から、経験を積んだ上でより良い方法に変更していくのは自然なことです。誰でもレベルアップしていきますので、そのレベルに応じて組み替えて良いのです。

NISAは投資枠が決まっており、複利効果を積み上げることが重要ですが、時代に合わせることも大切です組み替えても年間投資枠は復活しますし、1800万円がすべて埋まったとしても年間枠は使えますので、売却してから年間枠を使って運用することも可能です。

状況に応じて必要だと判断すれば、銘柄を入れ替えても問題ありません。それも非課税でできるのがNISAの魅力です。

⑩家族全員でNISAを使う ひとり1800万円をフル活用 (12:57)

これは非常に大きな金額になります。使える分は使った方が良いでしょう。

夫婦で使えば3600万円の非課税投資枠になり、これは個人の資産形成としては十分すぎる金額ですしかも、これは投資元本の金額ですから、複利効果を考えると将来的にはさらに大きな資産になります。

ただし、夫婦2人で分けると管理が2倍になってしまうというデメリットもあります。面倒だと感じる場合は、1人に集約しても問題ありませんが、贈与の問題や相続のことも考える必要があります。

長期間続けていくものですから、金額も大きくなる可能性があります。その意味では分けて管理することも一つの手です。

また、お子さんが生まれた時に、将来渡すための資金として親の枠を活用することもできます。

贈与については年間110万円までに抑えれば問題ありません。普通の家庭では110万円を超えることは少ないでしょう。

注意点として、もし全員分の管理を1人が行う場合は、名義貸しにならないよう、名義人にもきちんと内容を伝えた上で行ってください。この点だけは気をつけていただきたいと思います。

まとめ (15:14)

楽天証券の「NISAの使い方10カ条」は、投資初心者の方にとって非常に良くまとめられた内容です。基本中の基本がしっかりと含まれており、これらを守るだけでも十分な投資の基礎ができると思います。

これらの心得を守りながら、長期的な視点で投資を続けていけば、きっと良い結果が得られるはずです。投資は知識と経験を積み重ねながら改善していくものですから、まずはこの10カ条から始めてみてください。

またこちらの動画「老後資金の準備はたった手取り収入の10%を投資するだけでOKって本当?」では、老後資金を貯めるための投資術について解説していますのでぜひご覧ください。