パート・専業主婦(主夫)が投資デビューの前に知るべきポイント
本記事では、主にパートタイム勤務をしている女性や専業主婦の方が投資を始める際に気をつけるべき4つのポイントを、マネーセンスカレッジの視点からわかりやすく解説します。
新NISAを活用しながらも税金や社会保険の「扶養」から外れないようにするためには、制度の正しい理解が必要です。また投資にあたっては、脱税やインサイダー取引といった犯罪にも注意しなければなりません
これから投資デビューを検討している初心者の方にとって、実践的で安心な知識が得られるため、ぜひ参考にしてください。
キーポイント
投資の前に押さえるべき注意点(00:01:46)
パートタイムで働いている方や専業主婦の方が投資を行う上で注意すべき点が4つあります。
- 税制上の扶養から外れる可能性
- 社会保険上の扶養から外れる可能性
- 贈与税が発生する可能性
- インサイダー取引
各注意点について、項目を分けて解説していきましょう。
NISA口座で行う(00:02:19)
2024年から刷新された新NISA制度は、初心者にとっても極めて有利な制度となっています。
新NISAでは、「つみたて投資枠:年間120万円」「成長投資枠:年間240万円」の合計で年間360万円、通算で1800万円までの非課税枠があります。これは投資元本ベースでの上限であり、含み益などは含まれません。
非課税口座であるNISA口座で運用した利益は「所得」扱いにならず、税制上の扶養から外れる要因になりません。つまり、「利益が出た=扶養から外れる」という心配が不要なのです。
特定口座(源泉徴収ありで行う)(00:03:30)
ただし、NISAの非課税枠には上限があります。たとえば、長年積み立ててきた結果、1800万円を超える投資を行う場合、超過分は「特定口座」での運用になります。
この場合は、利益が出ても確定申告の必要がなく、自動的に税金が引かれるので手間が省けることから「源泉徴収あり」の特定口座を選ぶのが基本です。
「源泉徴収なし」の特定口座や「一般口座」は確定申告が必要になる場合があり、初心者にはややハードルが高くなります。ただし、年に1回まで「源泉徴収あり」への変更は可能です。
よくある誤解として、「確定申告すれば基礎控除内で非課税になるから、源泉徴収なしの方が得」と考える方がいます。しかし、実際には確定申告の手間や間違いのリスクを考慮すると、「源泉徴収あり」の方が実務上安全で合理的と言えるでしょう。
証券口座は1社に絞る(00:04:48)
投資を始めると、つい複数の証券口座を作りたくなる方も多いかもしれません。しかし、基本的には「1社に絞る」のが正解です。
理由は、制度上のルールとして「NISA口座は1人1つの金融機関にしか開設できない」からです。複数の金融機関で同時にNISA口座を開くことはできません。このため、NISAを軸に資産形成をする方は、必然的にメインの証券会社を1社に定める必要があるということになります。
複数口座を使っていると、「どの口座で何を買ったか?」「分配金がどこに入金されたか?」「売却指示が通っていたか?」など、管理が煩雑になっていきます。
投資初心者ほど、この管理に手間取り、注文ミスや資産の取り違えが発生しやすくなります。特に「注文金額を1桁間違えてしまった」というようなヒューマンエラーは、小額ならまだしも、長期運用になれば大きな損失のリスクにもなりかねません。
この点からも、証券口座は1社に集中する方が安全なのです。
もうひとつの理由が、「損益通算(そんえきつうさん)」の問題です。
損益通算とは、ある証券口座で発生した利益と別の口座で発生した損失を相殺し、税負担を軽減できる仕組みのことです。しかし、これが証券会社をまたいでしまうと、確定申告をしない限り適用されません。
投資の上級者の中には、「リスク分散のために複数口座を持つべき」と語る人もいます。確かに、それが有効になるケースもあります。たとえば、短期売買を頻繁に行うトレーダーや、一部のファンドにアクセスするために必要な場合などです。
しかし、我々のように長期投資をメインの方、売り買いするのも積立投資以外では年に数回といった方は基本的に複数口座を使うメリットはほとんどありません。
ちなみに証券口座は、事業継続性のある信頼性の高い企業を選ぶことが大切です。
アセットアロケーション運用やインデックス投資、全世界投資を前提とするなら、SBI証券がおすすめです。
次点としては楽天証券も挙げられます。
配偶者からの増与等は年間110万円に抑える(00:07:44)
投資資金をどこから用意するかは、特に扶養内で暮らす主婦やパートの方にとって重要な論点です。配偶者からの増与には「110万円以内」という明確な非課税枠が存在し、それを超えると贈与税が課税される可能性があるため注意が必要です。
多くの主婦の方は、夫の収入を原資に投資を始めるケースがほとんどです。しかし、「お小遣いの延長」のように考えてしまいがちで、実際に課税対象になり得ることは意外と知られていません。
これらはすべて、「名義預金」として税務調査で指摘される可能性があり、後から税金や延滞金が発生することもあります。
社会保険の扶養判定(00:10:08)
2025年4月時点で、収入が130万円もしくは事業規模によって106万円を超えていなければ、基本的に扶養から外れることはありません。
ここに含まれる収入には税制上の所得や税金がかかっているかどうかは関係ありません。扶養判定において特に重要なのは健康保険組合をお持ちの方です。協会けんぽの方などはNISA口座や特定口座の源泉徴収ありでやっていれば基本的に扶養判定の収入に含まれないため気にする必要はありませんが、健康保険組合がある場合はその健康保険組合の判定になるため注意が必要です。
扶養判定でのポイントは「恒常的な収入(定期的な収入)」があるかどうかです。組合によっては投資収入や売買益も「恒常的な収入」に含まれてしまうケースもあります。組合によっては利益だけではなく売買金額そのものを収入とみなす厳しいルールも存在します。
扶養の判定に不安がある場合は、加入している健康保険組合または配偶者の会社の人事・総務部に確認するのがベストです。確実な情報をもとに行動することで、後からトラブルになるのを避けられます。
インサイダー取引(00:13:06)
インサイダー取引とは、未公開の重要情報を利用して株式等を売買し利益を得ることを指す違法行為です。これは、上場企業の社員やその配偶者・親族などが対象となる場合が多く、知らずに違反してしまうケースもあります。
罰則は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、利益はすべて没収されます。
たとえ金額が少なくても、インサイダー取引は「社会の公正を損ねる行為」として重罪です。「軽い気持ちでやってしまった」では済まされないのが現実です。
まとめ
パートタイムで働く方や専業主婦(主夫)の方にとって、「投資=扶養から外れるのでは?」という不安はつきものです。しかし、新NISAや特定口座(源泉徴収あり)を活用すれば、基本的には税金や社会保険の扶養に大きな影響は出ません。
もしさらに詳しく学びたい場合は、マネーセンスカレッジの「チーム7%全世界投資」の無料プレ講座がおすすめです。
制度を正しく知り、賢く使いこなすことで、扶養内でも着実に資産形成は可能です。ぜひこの機会に、安心して一歩を踏み出してみてください。
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