米国株、今後10年はオルカンに負ける?それとも強気相場は継続?

今回はゴールドマン・サックスが発表した「今後10年の米国株はアンダーパフォームする」というニュースについて解説していきます。このニュースはSNS上でかなり話題になっているようで、多くの投資家が注目しています。

ゴールドマン・サックスのレポートを見てみると、今後10年の米国株はアンダーパフォームするという予想が立てられています。具体的には、S&P500の年間リターンは6.5%になる見込みだとしています。一方、新興国は10.9%、日本が8.2%、欧州が7.1%という地域別の予想も出されています。グローバル株式のストラテジストがこうした中期・長期予想を出したということですが、ゴールドマン・サックスがこのような予想を定期的に発表していたかどうかは疑問も残ります。

年初来の動きを見ても、オルカン(全世界株式)の方が資金流入が増えていますし、実際のリターンでもオルカンがアウトパフォームする場面が出てきています。これを牽引しているのが日本株式と新興国です。アメリカだけが少し伸び悩んでいるという状況で、S&P500一本で勝負するのはかなり厳しくなってきたのではないかと感じています。ただし、これは長期予想ですので、長期投資としてはこういう視点も確かにあるのではないかと思います。

モルガン・スタンレーの主張(2:21)

一方で、別の見方も存在します。モルガン・スタンレーは来年のS&P500について16%上昇すると強気な見方を示しています。

ここで注目したいのは、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、実は矛盾したことを言っているわけではないという点です。ゴールドマン・サックスは「10年間で平均6.5%」と言っているのであって、来年からいきなり6.5%に落ちるというわけではありません。平均が6.5%ということは、来年がモルガン・スタンレーの言うように16%上昇するのであれば、その後はもっと低い年が続いて平均を取れば6.5%になるということです。

今すぐ行動を変えなければならないのかと言われると、必ずしもそうとは言えません。ただし、これは結局のところ予測に過ぎないのです。「結局どっちなんだい」という話になってしまいます。

マネーセンスの見解(4:52)

正直なところ、こうした議論を見ていると、永遠にこれを繰り返して楽しんでいるのかなと感じてしまいます。S&P500だけを買っている人がこんなニュースを見て、それに反論してといった議論を続けているわけですが、よほど暇なのだろうかと思ってしまいます。

S&P500だけに賭けていく、そこに男気を感じているという方もいらっしゃいます。それは本人の自由ですので何も言いません。ただこの動画を視聴されている方の多くは、やはり失敗したくないという気持ちがあるでしょうし、今後どうなるのだろうと色々不安に思うこともあるでしょう。

私がお伝えしたいのは、少しでも不安があるなら分散投資をしましょうということです。ここで言う分散投資には、資産分散と時間分散があります。さらに資産分散の中には、アセットクラスの分散と地域の分散があります。これらを合わせて分散投資と呼んでいますが、この分散投資を実践すれば、こうしたニュースによる心の揺らぎは無くなるはずです。

私たちもこうしたニュースが出たら一応チェックはします。ただあまり取り上げることはありません。今回は色々とSNSで話題になっているということで取り上げていますが、基本的にこういうものに対して、マネーセンスカレッジで運用されている方や全世界投資を採用されている方は、全く動揺していないと思います。

そういう安定した投資スタイルを手に入れたい方は、ぜひ私たちのコンテンツを見ていただければと思います。YouTubeでもかなりの量の動画を公開していますので、こうした予測に振り回される時間があるなら、私たちの動画を一本でも多く見ていただきたいと思います。

オルカンの構成比率(7:15)

それでは、オルカンの構成比率を見てみましょう。2025年3月末現在の全世界株式の比率を確認すると、アメリカの割合が下がってきています。一方で、他の国々の割合が上がってきています。微妙な変化ではありますが、それでもアメリカは64.5%もありますので、まだまだ圧倒的な存在感です。

23年前、私たちがこのサービスを開始した時は、アメリカの比率は40%程度でした。そこから考えると1.5倍くらいに構成比率が増えているわけですから、今回の変化は誤差と言えば誤差です。それでも、構成比としては徐々に新興国の割合も増えてきていますし、サービス開始時には5%くらいだった新興国が、今では急速に割合を増やしています。

日本の割合も多少変動はありますが、今後また盛り返してくるのではないかと見ています。いずれにしても、構成比率は変わっていますが、オルカンは時価総額加重平均で計算されますので、アメリカが衰退すれば他の部分が隆起して、自動的にバランスが取れるという仕組みになっています。その点は非常に便利です。

ただし、これは株式だけの話です。例えばアメリカの景気が悪くなれば、当然全世界に波及します。やはりアメリカが中心にいますから、トランプ大統領が関税を上げますと言ったら世界の逆鱗に触れたわけですが、全ての国がそれに対応しようとしています。そういう影響力があるのです。
株式という一つのアセットクラスだけでは、やはり難しくなってくるのではないかと思います。

リスクとリターンを数値化する(9:30)

過去の動画でも取り上げましたが、米国株式の10%の利回りについて、いろいろなデータがあります。2003年1月から2025年6月までのデータで、全世界投資も合わせて比較できるタイムスパンで考えてみました。

リスクとリターンというものがありますが、リターンは平均ではありません。リターンの中央値を見てみましょう。中央値で見ると、S&P500とオルカン、そして全世界投資はほとんど変わりません。リターンは完全にS&P500が抜けていますが、それはなぜかというとリスクが抑えられているからです。

リスクが抑えられると何が良いのかというと、値動きの振れ幅が小さいということです。大きく下がる時は下がるかもしれませんが、S&P500に比べて全世界投資は被害が少なくて済みます。また、大きく上がる時も、S&P500がボーンと上がっていても、全世界投資はそこそこの上昇にとどまります。それを平準化したものが良いのです。

大儲けしたい人には、私たちの投資は全く面白みがないのでお勧めしませんが、長期的に安定的に資産形成をしていきたいという方には持ってこいの投資方法になります。

株式投資だけで心が揺れそうなら全世界投資(10:58)

もしこういう情報で迷子になっていて、どこに行っていいか分からないという方は、ぜひ私たちのコンテンツをご覧ください。手前味噌ではありますが、非常にためになると思います。

株式だけで心が揺れそうだったり、一国だけで心が揺れそうだと思うのであれば、債券なども全部含めた国際分散投資、私たちが「全世界投資」と呼んでいるものをお勧めします。全世界に満遍なく投資しましょうということを推奨しています。

ニュースに反応するのは、投資を楽しんでおられるのであれば結構かと思います。ただ皆さんの資産を守ってくれるのはポートフォリオであり、資産分散です。その方法論についてまとめられたのがアセットアロケーション運用というものです。

投資の三大原則である長期投資、資産分散、時間分散、この三つをぜひ取り入れてみてください。その方法論について分からなければ、会員制度を運営していますので、無料の体験会もご用意しています。気になる方はぜひご参加ください。

またこちらの動画「【データで実証】米国株暴落で-20%!全世界投資と米国株1本投資、勝ったのはどっち?【きになるマネーセンス884】」では、2025年初頭の相場暴落をもとに、S&P500、オルカン(全世界株式)、マネーセンス流の全世界投資の3つを徹底比較しています。こちらも合わせてぜひご覧ください。