年利4.2%の衝撃!SBI新生銀行「金利10倍」キャンペーンの狙い

SBI新生銀行が年利最大4.2%という驚きのキャンペーンを発表しました。ユーザーとしては非常にお得に感じられる一方で、銀行側にはどのような狙いがあるのでしょうか。キャンペーンには当然裏の事情もあるため、その点も含めて詳しく解説していきます。

今の金利上昇局面でも、長期金利をはるかに超える年4.2%という数字は確かにインパクトがあります。ただし、これは税引前の数字であり、1年間まるまる適用されるわけではありません。この点も踏まえて、キャンペーンの詳細を見ていきましょう。

SBI新生銀行「金利10倍」キャンペーン内容(0:40)

今回のキャンペーンで興味深いのは、SBIハイパー預金という仕組みです。これはSBI新生銀行の中でSBI証券とリンクする口座で、住信SBIネット銀行のSBIハイブリッド預金に相当するものとして設けられています。

キャンペーンの特徴は、SBIハイパー預金の預かり金額の総合計が一定額に達すると金利が上がっていく点です。全ユーザーの合計額が1兆円を超えると、金利が4.2%になります。現時点では5000億円程度あるようですが、これを倍の1兆円まで増やしたいという狙いがあります。金利は2倍、4倍、10倍と段階的に上がっていく仕組みです。

銀行側の目的は明確で、SBI新生銀行にお金を集めたいということです上場も控えており、公募価格は1450円を想定しているようです。かなり大きな金額になる見込みで、上場記念も兼ねたキャンペーンという位置づけになります。

狙いとしては、住信SBIネット銀行をこれまで使っていた方に新生銀行へ移ってもらいたいという思惑があります。銀行はそれぞれ使い勝手が異なりますが、SBI証券との連携をSBI新生銀行の方に移してもらいたいという意図が見て取れます。

同時に預金を集めて潤沢な資金を確保し、上場後のサービス拡充に向けた施策を打っていきたいという目論見があります。銀行側としては、お金は出ていくものの成長のために必要な投資です。キャンペーンは期間限定で最大金額も読めるため、計算の上で実施できる施策といえるでしょう。

1兆円に到達すればそれはラッキーという位置づけです。ユーザー参加型のキャンペーンで、ユーザーが参加することで金利が上がっていくという一体感を演出する狙いもあります。

ユーザー側のメリットは?(3:12)

ユーザー側のメリットについて見ていきましょう。最大4.2%という金利ですが、対象となる金額は最大100万円までという制限があります。これは、ハイパー預金が投資に向かうためのお金が入っている口座であるため、そこまで大きな金額は残っていないだろうという想定です。特に今は株価が上がっている状況で、投資資金が待機資金として残っている方はあまり多くないかもしれません。

このキャンペーンは2026年3月31日に終了し、その時点での預金残高を遡って日割りで金利計算し、金利相当額をプレゼントする仕組みです。金利相当額とはいえ税金がかかるため、実質的には金利として扱われます。プレゼントのタイミングは明示されていませんが、おそらくキャンペーン終了後速やかに付与されるでしょう。

最大で受け取る場合、キャンペーン開始からずっと100万円以上の残高をキープし、1兆円を達成すると4.2%の金利で計算され、その期間の金利は最大9290円になります。つまり、100万円を入れておくことで約1万円弱のお小遣いが得られる計算です。期間は約4ヶ月程度で、100万円に対して1%相当のキャッシュバックになります。正確には9296円です。

100万円以上ある方で、1兆円は多分達成するだろうと考えると、この約9300円に価値があるかどうかが判断のポイントになります。1万円弱であれば、動いてもいいのではないかという水準です。

SBI新生銀行の狙い①(5:49)

このキャンペーンを受けるためには、SBIハイパー預金が必要になります。そうすると、自動的に住信SBIネット銀行のSBIハイブリッド預金の自動スイープサービスを解除しなければなりません。つまり、住信SBIネット銀行側に設定していた連携を外す必要があります。

SBI新生銀行から見れば、住信SBIネット銀行は売却したため連携は続けるものの、お客さんの選択は自由です。しかし、SBI本体としては新生銀行をハブ銀行として位置づけ、第4のメガバンク構想の中核をなす銀行として育てていきたい考えがあります。そこにどんどんお金を寄せてもらいたいという思惑があるため、当然新生銀行を強く推していきます。

SBI証券との連携もどんどん強化していく方針で、SBI経済圏の中に取り込みたいというのが最も大きな狙いです。

SBI新生銀行の狙い②(6:46)

もう一つの狙いは上場です。2025年12月17日に上場予定で、この動画が公開される頃にはすでに上場しているでしょう。その時にこけないようにすることも重要ですが、そのタイミングで預金残高が1兆円に達していれば、成長性を示すことができます。投資家へのアピールという意味でも非常に効果的です。

4.2%という金利は話題性があり、いろいろなメディアで取り上げられるでしょう。盛り上げていく意味では、話題作りとして優れた戦略といえます。

SBI新生銀行の狙い③(7:41)

預金というのは、結局今あるお金の中でやりくりするものです増えていくかというと、現状はインフレで家計が厳しい状況ですから、今あるお金をどこに寄せてもらうかという、他行からの奪い合いという形になります。これは仕方のないことです。

そういう意味では、住信SBIネット銀行は定期預金の金利を引き下げました。むしろマネックス証券との連携を強めていく流れになっていくのかもしれません。住信SBIネット銀行側からSBI証券とのリンクを消すことはないと思われますが、施策としては他方向に進んでいく印象です。SBIネオバンクという存在もありますが、動きはあまり活発ではなく、スピード感ではSBI新生銀行の方が勝っているように見えます。

今回の上場でそのスピード感を維持できるかという点もありますが、戦略としていずれ上場するのであれば、タイミングは早い方がいいという判断でしょう。いずれどちらも銀行の名前が変わっていくでしょうし、住信SBIネット銀行もSBI経済圏から緩やかに切り離されていくような印象です。今回のキャンペーンは、そののろしのような意味合いもあるのかもしれません。

キャンペーンを利用する?しない?の判断基準(8:59)

冷静に計算してみると、金利4.2%は確かに今の日本の金利水準から見ればすごい数字ですが、上限金額は100万円まで、期間は約4ヶ月弱です最大でも9296円、つまり1万円弱ですので、動くか動かないかは、移動できる金額と金利、そしてそれに見合う労力があるかどうかで判断すればよいでしょう。

このキャンペーンだけのために口座を開いてまた戻すというのは設定も面倒なので、おそらく多くの対象は住信SBIネット銀行からSBI新生銀行へ移動させるか、もしくは楽天銀行などの他行から寄せてもらうというケースになると思われます。お金があって移動するだけで済むのであれば、比較的簡単にできるでしょう。

ただし、今回はSBIハイパー預金なので、いくつかの手続きが必要になります。そこが少し面倒なところです。

特に、既存ユーザーでSBI新生銀行を投資用銀行としてメインで使っている方は、お金を寄せる以外に何もすることがないので、このキャンペーンをやる一択です。12月10日時点ですでに始まっているので、できるだけ早く100万円程度を寄せるのが最も効果的でしょう。新規ユーザーの場合はタイミングが微妙かもしれませんので、お財布事情と合わせて判断していただければと思います。

関連動画として、SBI新生銀行誕生時にSBIハイパー預金ができたという解説もあります。推奨銀行として住信住信SBIネット銀行を挙げており、SBI証券を推奨証券会社として挙げています。その連携先としてSBI新生銀行もありますので、ハイパー預金の使い勝手やSBI証券との連携サービスについて解説している動画も参考にしてください。

マネーセンスカレッジの見解(11:07)

マネーセンスカレッジとしての見解ですが、今回はSBI新生銀行が上場するタイミングでもあるため、先行してこのようなキャンペーンを行っているわけです。いずれそうなるのであれば、SBI新生銀行に移していただいてもよいと考えられます。

ただし、完全自動化がまだできないという点があります。SBIハイパー預金に入金すれば積立投資は普通にできますが、それを売却してハイパー預金に入れて、また購入するという流れの自動化まではいきません。単体では残念ながら構築できないという状況です。そうしたサービスも是非進めていってほしいと思いますし、おそらく完全に整備されていくと考えられます。

それを少しフライング気味に今の段階で行うのもよいかもしれません。ただし、投資を継続することが最も重要なので、手動の作業が一つ入るだけで投資がストップしてしまうことが往々にしてあります。実際にそういうケースを何度も見ているため、ここだけは譲れないというところで、まだ推奨には至らないという判断です。

今回のキャンペーンについては一応お知らせしましたが、判断は各自でしていただければと思います。また、住信SBIネット銀行を使っていて、貯蓄用口座としても使っている場合、例えば目的別口座という非常に便利な機能があります。また振込手数料が一定数まで無料なので、住信SBIネット銀行から送金するという方法もあります。ハイパー預金には直接は難しいですが、SBI証券の預かり金に入れれば連携されるため、そちらに送るという方法もなくはありません。

少しタイムラグがありますが、いろいろな方法を使って自動連携を構築することは一応できます。面倒で複雑になってしまいますが、工夫次第では可能です。今のうちからそうした仕組みを構築しておくのもなくはないでしょう。

ただし、非常に複雑で、いろいろなサービスをちゃんと理解していないと自分で構築するのはなかなか難しいと思います。それであれば、こうしたキャンペーンに踊らされないで、ちゃんと反映された時に移動させるというのでもよいのではないでしょうか。ここは各自の判断に委ねたいと思います。

投資の自動化という考え方を含めたMy金融システムについて推奨しています。その考え方についての動画もありますので、合わせて見ていただけるとよいでしょう。投資にとって自動化と隔離というのは非常に大事です。投資の敵は自分自身なのです。忘れたり、面倒くさがったり、また隔離していないと生活資金に使ってしまうということが起きます。投資を継続させるために必要なものは自動化と隔離なのです。

その意味でMy金融システムというものを提唱していますし、それを土台にして、実際に何をどれくらい積み立てるのかということに関しては、全世界投資をお勧めしています。これらのメソッドのほか、家計管理や資産形成についても解説しています。3つのメソッドで解説していますので、ご興味がありましたら他の動画や公式サイトも見ていただけるとありがたいです。

またこちらの動画「SBI新生銀行にSBIハイパー預金誕生!2025年9月23日から。SBI証券の買付余力に自動反映」では、SBIハイパー預金の仕組みや住信SBIネット銀行との比較や自動化・貯蓄管理の注意点を解説していますのでぜひご覧ください。