【2026年新NISA】年初一括投資がいいのか?時間分散がいいのか?
2026年になると、新NISAの年間投資枠360万円が解放されます。
年始になると「年初一括投資しました」というコメントが多く寄せられますが、そもそも年初一括投資は本当に良い選択なのでしょうか。
年初一括投資が不思議な理由(0:36)
年初一括投資という考え方には根本的な矛盾があります。新NISAには生涯投資枠として1800万円がありますが、年間投資枠は360万円です。年初一括で360万円を投資するということは、残りの1440万円は投資されていないということになります。
仮に手元に720万円や1000万円の資金があったとして、その360万円以外のお金はどうしているのでしょうか。おそらく余剰資金として保有しているはずです。しかし、それでは「年初一括投資」という考え方そのものが破綻しています。
一括投資の理論的根拠は、経済的合理性の観点から「今が一番安い時なので今買った方が良い」というものです。もしその理論を信じるのであれば、特定口座を使ってでも全額を投資するべきです。特定口座でも利益は出ますし、税金は約20%かかりますが、それでも資産は増えていきます。経済合理性から判断すれば、今持っているお金はすべて一括投資された方が良いはずです。
また、1月1日にちょうど360万円の投資資金が手に入るという状況は、かなり限定的です。例えば、年末にボーナスや売上が入る仕事をしていて、それを1月に投資するというケースなら理解できます。しかし、これだけ多くの「年初一括投資」のコメントがあることを考えると、そのような特殊なケースばかりではないはずです。
つまり、年初一括投資をしている人の多くは、その360万円だけを投資して、他の資金は投資していないということになります。これは明らかに矛盾しています。今後も資産が増えていくことを期待しているのであれば、すべての資金を投資するべきだからです。
百歩譲って「絶対に税金を払いたくない」という理由であれば理解できなくもありませんが、それも経済合理性から考えればあり得ません。税金を払ってでも、それ以上に資産が増える可能性があるからです。
一括投資がいいのか時間分散がいいのか(3:23)
一括投資が良いのか時間分散が良いのかという議論は、永遠のテーマとなっています。長期投資の観点から見れば、過去のデータから判断して一括投資の方が理にかなっているというのは事実です。しかし、これはリターンだけを見た場合の話です。
点と点だけを見れば一括投資が有利ですが、その間の過程を考える必要があります。例えばリーマンショックの時は、10年間のうち半分以上の期間がマイナスでした。一括投資をした場合、その間ずっとマイナスに耐え続けなければなりません。一方、時間分散をしていれば、例えば5年間で60回に分割して毎月投資することで、もっと早くリターンが上がる可能性があります。
どちらが良いかは、将来になってみないと分かりません。リターンを重視するか、リスクを重視するかの違いです。基本的に投資家はリスクを重視する人の方が継続しやすいため、迷ったら時間分散の方が良いと言えます。
投資資金があって迷いなく投資できるのであれば、一括投資の方が良いでしょう。むしろ年初一括などと言わずに、全資金を一括投資した方が理にかなっています。それができないのであれば、時間分散を取り入れるべきです。その場合、年初一括などと考えずに月次分散で良いのではないでしょうか。
実際に2024年の場合、オルカンやS&P500では年初一括投資の方が良い結果となりました。しかし2025年の場合は、時間分散投資の方が良かったと言えます。トランプショックで一度底をつけてから上昇したため、きれいなV字回復となりました。これはドルコスト平均法にとって最も有利な状況でした。
もっと言えば、下がったタイミングで一括投資した方が良かったかもしれません。しかし、そのようなタイミングを測ることは、ほとんどの人にはできません。それならば毎月定額の収入の中から投資していく積立投資の方が現実的です。
積立投資であれば、年初一括投資はそもそもできません。今投資資金があるならば投資した方が良いですし、それが年初であろうとなかろうと、投資資金が生まれた時点で投資した方が良いでしょう。夏のボーナスがあるなら年初まで待たずに夏に投資すべきですし、3月に資金が入ったなら3月に投資すべきです。
一括投資に全く不安がなく、リスクも理解していて、下落しても長期保有できるという確信があるならば、一括投資でも良いでしょう。しかし投資初心者がそのような判断をすることは難しいですし、実際に暴落を体験していないため、認知バイアスが働いている可能性が非常に高いと言えます。そして一度一括投資してしまうと、それは取り返せません。
したがって、一括資金があったとしても時間分散した方が良いでしょう。また、まとまった資金がなく毎月の投資資金しかない方は、積立投資になりますので、結果的に時間分散になります。今お金を持っていないわけですから、そもそも年初一括投資はできません。
ここで強調したいのは、リターンだけでなくリスクも見てほしいということです。そして最終的に投資を継続できれば問題ないということです。一括投資でも時間分散でも、どちらでも構いません。より自分自身が納得できる方を選ぶべきです。納得できれば、当然継続できるからです。
しかし一括投資に不安があるにもかかわらず、周囲の声に流されて一括投資をしてしまうと、「ほら見たことか」という結果になりかねません。例えば2025年の場合、1月に一括投資した人は8月頃までずっと赤字だったはずです。日経平均でさえ7月頃まで赤字でした。そのような年もあるということです。
これは1年という範囲の話ですが、元々長期投資を考えているのであれば、ここから下がる可能性だってあります。そのようなリスクを回避したい人もいるでしょう。
まとめ(8:47)
基本的には、投資資金があって迷いがないのであれば一括投資をすれば良いでしょう。その場合、年初一括などと言わずに、資金がある時に全額投資するべきです。しかしそれができなくて迷いがあるならば、時間分散が良いでしょう。
時間分散する場合、例えば1800万円の枠があったとして、それを毎月分散ではなく年間一括で5年間かけて投資するという考え方もあります。月次分散は不要だが年間分散は必要だという方もいるでしょうから、それでも構いません。
結局、何が言いたいかといえば、継続できるかどうかで判断してほしいということです。投資は継続したもの勝ちです。正直なところ、長期投資を行えば、多くの方が資産形成に成功する結果が得られるのではないでしょうか。
さらに言えば、株式だけでなく債券なども組み入れた投資が望ましいでしょう。資産分散は買う時の分散であり、時間分散は時間の分散です。時間分散の中で何を買うかが資産分散であり、今資金がある方はその両方を考える必要がありますが、資金がない方は積立投資で構いません。
そして資産分散を取り入れた方が、より安定した投資になるでしょう。今後、株式が下がることもあり得ますし、為替が円高になることもあり得ます。海外だけでなく日本にも、株式だけでなく債券にも投資してバランスを取りながら投資していくことが、アセットアロケーション投資の醍醐味であり、よりマイルドな投資になります。それが再現性の高さにつながります。
資産形成の目的は、何かに使うためです。その使う時に暴落していたら問題です。全世界投資という方法でも暴落の影響は受けますが、株式だけよりもはるかにマイルドですし、それに対する対策も取り得ます。このような投資方法を駆使していくことで、できるだけ堅実な形で資産形成ができるようになります。
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