楽天MRF復活?MRFの仕組みと銀行預金との違いとは
楽天証券が「楽天マネーファンド」を復活させたことで資金運用の新たな選択肢が注目を集めています。
本記事ではMRFの基本から銀行預金との違い、そしてそのメリットとリスクまでをわかりやすく解説します。資産運用を考える全ての方に役立つ内容です。
キーポイント
楽天MRF復活?(00:00:00)
楽天証券が新たに取り扱いを開始した「楽天マネーファンド(通称:楽天MRF)」は投資家の間で待望の復活とされる存在です。
この記事ではそもそもMRFとはなんなのか、メリットはあるのかといった内容について掘り下げていきます。
楽天マネーファンドはまだMRFじゃない?(00:00:36)
2025年4月25日、楽天証券は「楽天マネーファンド」の取り扱い開始を発表しました。楽天はこれをMRFと称していますが、実際にはまだMRFとしての完全な機能を備えていない段階です。
しかしYouTubeやブログなどでも「楽天MRF」と紹介されるケースが多く一般的な認識としてはそのように呼ばれていますが実態はまだ発展途上です。その理由についても解説していきます。
MRFとは何か?その仕組みと投資信託としての特性(00:01:21)
MRFとは「マネー・リザーブ・ファンド(Money Reserve Fund)」の略称で投資信託の一種です。一般的な投資信託とは異なり株式ではなく短期の公社債などを中心に運用されており元本の安全性を重視した設計になっています。投資対象は国債や地方債、信用力の高い企業が発行する社債やコマーシャルペーパー(短期の約束手形)などで満期も非常に短いものが中心です。
このような運用方針によりMRFは値動きが非常に安定しており、元本割れのリスクが極めて低く抑えられています。さらに、債券の残存期間も90日以内が基本で、最大でも180日程度と非常に短く設計されているため、短期的な資金の運用先として適しています。
こうした特徴からMRFは証券会社の口座内における「待機資金」の運用先として利用されてきました。特筆すべきは自動的に購入・解約が行われる点で証券口座に入金された資金は自動的にMRFに充当され投資信託や株式を購入する際には必要な分だけ自動で解約されるという仕組みです。これにより資金効率の高い運用が可能となっています。
ただしMRFはあくまで投資信託であり銀行預金のように元本が保証されるわけではありません。それでも安全性を確保しつつ少しでも利回りを求める資金の一時的な置き場として非常に優れた役割を果たしてきました。長らく金利低下の影響で衰退していたMRFですが楽天MRF復活の背景には金利上昇があるといえるでしょう。
銀行預金より有利?楽天MRFの利回りとコスト(00:07:43)
楽天マネーファンドは年利0.463%という比較的高水準の利回りを提示しておりこれは多くの銀行預金と比べて有利な水準です。SBI新生銀行の「ダイヤモンド」ステージでは0.4%の金利が設定されていますが楽天MRFはそれを上回っています。この利回りの高さが楽天MRFの大きな魅力の一つです。
また、楽天MRFは1円以上1円単位で購入可能で購入手数料も無料とされています。こうした低コスト運用により使いやすさと経済性を兼ね備えた商品設計になっています。
ただし、注意すべきは現在のところ自動買付・自動売却の機能が備わっていない点です。申し込みは毎営業日16時まで受け付けられ16時以降の申し込みは翌営業日扱いとなります。換金についても同様に翌営業日に反映されるため即時性という面では制限があります。
楽天MRFはその名称とは裏腹に現時点ではまだ「自動化された資金運用ツール」としては完成しておらず利用者の手動操作が必要です。
楽天MRFの課題と今後の展望(00:10:40)
自動入出金機能が搭載されていないため現状では利便性が低いといえる楽天MRFですが、楽天証券のプレスリリースでは将来的に株式や投資信託の購入時に楽天MRFから自動的に資金を引き出せる機能の実装を予定していると明言されています。これは真の意味でのMRF機能の実現に向けた一歩であり投資家にとっては大きな前進となるでしょう。
また、楽天証券には既に「マネーブリッジ」という自動資金移動サービスが存在しておりこれとの併用が可能になるとの記載もあります。今後、マネーブリッジとの競合または住み分けがどのように行われるかによって楽天MRFの運用方法や位置づけも変化していく可能性があります。利便性と自動化を備えた資金管理ツールとしての完成に向けさらなる機能の追加と改善が期待されます。
銀行預金とMRFの使い分け方(00:13:14)
楽天MRFと銀行預金の比較では利回り面で明確な差が見られます。楽天銀行のマネーブリッジを活用した場合でも金利は300万円以下で0.28%、300万円超で0.22%です。これに対して楽天MRFの利回りは0.463%と高く同じ資金を運用するなら楽天MRFの方が効率的であることがわかります。
ただし安全運用が前提であるMRFにとって利回りが高すぎると逆にリスクが心配される面もあります。2025年6月15日時点のデータでは他の主要証券会社のMRFが0.3%前後である中、楽天MRFはそれを大きく上回る数値を示しています。利回りの高さが魅力である一方で運用内容についても注意深く見守る必要があります。
とはいえ安全性が重要視されるMRFで元本割れを避けたいのは楽天証券側も同じです。後発であること、また低い利回りではマネーブリッジの金利とあまり変わらないことから高い利回りの実現を努力していると見ることができるでしょう。
銀行預金とMRFのリスクと保護制度の違い(00:17:20)
銀行預金は元本が保証されておりさらにペイオフ制度によって1,000万円までの預金とその利息が保護されます。一方、MRFは投資信託であり元本保証はありません。しかし投資信託には分別管理が義務付けられており証券会社や信託銀行が破綻しても資産が保護される仕組みになっています。
さらにMRFは投資者保護基金の対象であり1,000万円までの補償も可能です。これにより銀行預金とほぼ同等の安全性が確保されていると考えることができます。加えてMRFは1,000万円を超える資金でも分別保管されているため大口資産の運用にも適しています。銀行預金では1,000万円を超える部分についてはペイオフの対象外となるため複数の金融機関に分散する必要がありますが、MRFであれば一つの証券会社で一元的に管理が可能です。
また税制面でもMRFには優位性があります。MRFの分配金は利子所得に分類され株式の譲渡損失との損益通算が可能です。銀行預金の利息も同じく利子所得ですが株式損失との損益通算はできません。この違いにより投資全体での税負担を抑えることができる点もMRFの隠れたメリットといえるでしょう。利回り、安全性、税制の観点から見て、MRFは資産運用の柔軟な手段となります。
個人向け国債変動10年との比較で見えるMRFの役割(00:21:55)
銀行預金やMRFと並び短期から中期の資金運用先として注目されるのが「個人向け国債」です。中でも金利が上昇局面にある現在は変動10年タイプが魅力的とされています。この国債は1.0%の利回りが設定されておりMRFの0.463%を上回る水準です。1年以上使う予定のない資金であれば個人向け国債の方が利回り面では有利といえます。
ただし個人向け国債は1万円単位でしか購入できずまた募集期間が月ごとに限定されているなど利便性の面で制限があります。加えて購入から1年間は解約ができないという条件もあり短期資金の運用先としては使いにくいともいえるでしょう。対してMRFは1円単位での購入が可能で原則いつでも換金できる点で柔軟性に優れています。
また個人向け国債は満期まで保有すれば元本と利息が確保されますが、途中で解約した場合には利息の一部を返還しなければならない場合もあります。そのため使う予定が確定していない資金や臨時的にプールしておきたい資金についてはMRFの方が適しているケースも多くあります。
MRFは今後どう進化するのか(00:24:47)
現在、楽天MRFは自動売買機能が未実装であるなど真のMRFとは言い切れない状態にありますが将来的には従来のような完全なMRFとしての機能を備える予定が示されています。今後のサービス向上により自動買付や自動売却が実現すればMRFは証券口座内の資金管理における「新たな標準」となり得るでしょう。
これまでは証券口座の資金運用には各社独自の銀行連携サービス、たとえば楽天の「マネーブリッジ」やSBI証券の「ハイブリッド預金」が使われてきました。これらは預金として金利がつく反面、金額が増えた場合の運用効率やペイオフの制限といった課題がありました。
MRFが復活すればこれまでの銀行連携サービスに代わる資金プール手段として再び脚光を浴びる可能性があります。特に1,000万円を超える資金を一括で保管・運用したい層にとっては分別管理が義務付けられたMRFの方が扱いやすい選択肢となります。
マネーセンスカレッジでは生活用、貯蓄用、投資用と口座の使い分けを推奨しています。今後、投資用口座においてMRFが主力となっていく可能性もあり、資金管理の方法自体が変わるかもしれません。
まとめ
楽天MRFは現段階では自動買付や自動売却といった本来の機能は未実装ながらも高利回りと安全性を兼ね備えた資金運用先としての可能性を秘めています。今後の機能追加により従来の証券口座内資金管理のあり方が変わるかもしれません。
銀行預金との使い分けや税制面での利点を活かし賢く運用することが求められます。
またこちらの動画「【設定忘れで被害者に!?】楽天証券フィシング詐欺や「勝手に売買」にあわないための重要設定とは?撃退対策も紹介!」では楽天証券での詐欺にあわないための対策を紹介しておりますのでぜひご覧ください。