S&P500に“買い時”はない?投資戦略の正しい考え方
S&P500は今は買い時ではないという話をよく耳にするかもしれません。しかし本当に「買い場」が存在するのでしょうか?
本記事ではS&P500の長期チャートを基にした投資戦略や資産分散・時間分散によるリスク軽減方法を詳しく解説します。短期投資と長期投資の違いを理解し自分に合った投資スタイルを見つけたい方におすすめの内容です。
キーポイント
S&P500の買い場は今じゃない?(00:00:00)
S&P500が高値圏にあると「今は買うべきではない」という意見が増えてきます。特にSNSやYouTubeでは「絶好の買い場が来たら連絡するのでLINE登録を」といった誘い文句を見かけることが多くなりました。
こうした発信の多くは投資家を短期トレードに誘導したいという目論見があることが多いです。しかし、私たちが行う長期投資の観点からは「買い場」という概念自体がほとんど意味を持ちません。投資において最も重要なのは市場の短期的な動きを予測することではなく長期的に資産を増やし続ける仕組みを持つことです。
長期投資では今の価格が一時的に高くてもそれが10年後や20年後には問題にならないケースがほとんどです。市場は常に成長を続けており短期的な変動にとらわれる必要はありません。
長期投資における「買い場」の概念(00:02:42)
長期投資は長期にわたり投資できるものに投資をして長く保有することで、そのもの自体が価値を生み出して価格が上昇していくものです。
長期投資を行う際は基本的に、データなどの裏付けの元に現在よりも未来が増えていることを前提に置いた投資です。つまり、長期投資においては理論上今買えば一番安いため「買い場」というものは存在しないのです。
S&P500の超長期チャートを読み解く(00:03:39)
S&P500の長期チャートを見ると1964年から現在に至るまで大きな成長を遂げていることがわかるでしょう。指数関数的な成長を遂げており投資を続けていれば利益を得られる可能性が高いことが示されています。
ただし一時的に大きな下落を経験することもあります。例えば2000年のITバブルのピークで買った場合14年間は元本割れの状態が続きました。同様に2008年のリーマンショックでは大きな下落が発生しました。
市場が上昇を続ける中で「今がピークかもしれない」「これから下がるかもしれない」と考え投資をためらう人は少なくありません。確かに上記のような大きな下落もありました。しかし、歴史を振り返るとS&P500は長期的に右肩上がりの成長を続けてきました。
そのため長期投資においては「買い場」を意識する必要はなく、今からでも積み立て投資を続けることが利益につながっています。
短期投資と長期投資の違いとは?(00:05:58)
長期的に見れば成長を続けていても、細かく見ればITバブルやリーマンショックなど大きな下落も受けているのも事実です。
このような下落の底、つまりここで言う「買い場」が分かればもっと儲かる、危険な状況に陥らずに済むということを考えます。こういうことを売り文句にしている人は投機を推奨してきます。
短期投資は価格の上下を予測して売買を繰り返すことで利益を狙う方法です。「投資」と名付けられていますが、実際は「投機(トレード)」です。そして、その「買い場」が分かるのかというと、基本的にはわかりません。実際には市場の動きを正確に予測することは非常に困難といえます。
その中で色んな犠牲を払いリスクを負って利益を出すためには時間や経験、才能などが必要となります。
一方、長期投資は市場の成長を前提にし長期間資産を持ち続けることで利益を得る方法です。短期的な値動きに惑わされることなく堅実に資産を増やすことができます。
例えるなら、短期投資はF1レーサー(大きな利益を得られるが技術も経験も必要で限られた人間しかできない)になるようなもので、長期投資は自家用車の運転(利益の増え方は緩やかだが誰でもできて再現性がある)をするようなものです。それぞれに良し悪しがあるので理解したうえで選択すべきでしょう。
買い場がわからない場合の投資戦略(00:08:46)
買い場がわからない場合の投資戦略はが「資産分散」と「時間分散」です。
資産分散とはS&P500だけではなく全世界の株式や債券など他の資産に分散して投資することです。S&P500は過去に14年間横ばいの時期がありましたが全世界投資をしていればその影響を軽減できました。
時間分散は一括投資ではなく定期的に資産を投入することで価格変動のリスクを抑える方法です。市場が上下する中でも安定的に資産を増やすことができます。
経済は人間の感情にも影響されるので理論通りに動かないときもあります。経済的な合理性がある中で株価は動いていないのです。経済的合理性がある状態なら値動きは滑らかな曲線になるはずです。
経済の波やサイクルなど経済的合理性で説明できない現象が実際に起こっていることを考えると時間分散をしておいたほうが基本的にうまくいきやすくなります。
長期投資、資産分散、時間分散の3つが入ると安定します。
まとめ
S&P500の買い場を気にするのではなく長期投資の本質を理解することが大切です。市場の短期的な変動に左右されず資産分散と時間分散を活用しながら着実に資産を増やしていきましょう。
長期的に見れば今が最も安いタイミングであり今すぐにでも投資を始めるのが最も合理的な選択です。市場の動きに惑わされず堅実な投資を続けていくことが成功の鍵となります。
また、こちらの動画「《一括投資 vs 積立投資どっち?》最終的に時間分散が最強になる理由」では一括投資と分割投資を比較しなぜ分割投資が良いかを詳しく解説しています。
さらにこちらの動画「《S&P500・オルカンは資産分散とは言えない》最終的に資産分散が最強になる理由」では今回取り上げたS&P500一本で資産分散と言うのは危険である理由がわかりますのでぜひ参考にしてみてください。