【NISA派の盲点】退職所得控除ゼロでもiDeCoを使うべき理由

近頃iDeCoの税制改正によって「iDeCoは必要ないのでは?」という声が増えています。しかしこれは本当に正しい選択なのでしょうか?

本記事では退職所得控除がゼロのケースでもiDeCoを活用するべき理由を解説します。老後の資産形成をより有利に進めるためにぜひ最後までご覧ください。

キーポイント

NISAだけで本当に大丈夫?税制改正で変わる老後資産の考え方 (00:00:00)

NISAの非課税枠が拡充され1800万円まで投資が可能になったことで多くの人が「NISAだけで十分では?」と考えるようになりました。さらに2024年末の税制改正でiDeCoの「9年ルール」が導入されることが発表されiDeCoの利便性が損なわれるのではないかという懸念が広がっています

しかし老後の資産形成において重要なのは単に非課税枠の大きさではなく「税制の優遇を最大限活用できるかどうか」。現在の税制ではiDeCoには「所得控除」という強力なメリットがあり特に現役世代の負担を減らす点で非常に優秀な制度です。

また税制は今後も変更される可能性がありNISAの非課税枠が今後どうなるかも不透明です。そのためNISAだけに頼るのではなくiDeCoも活用することでより安定した資産形成が可能になります。

iDeCoは本当に使えない制度なのか?最新の税制改正を解説 (00:01:05)

税制改正のポイントとしてiDeCoの「9年ルール」が注目されています。これまで退職所得控除をフル活用するには退職金を受け取る前の4年間が重要でした。しかし今回の改正でこの期間が9年に延長される見通しです。

この変更により「iDeCoの一時金受け取りが不利になるのでは?」という不安が広がっています。しかし結論から言うと9年ルールが導入されてもiDeCoのメリットは依然として大きいのです。

シミュレーションで比較!iDeCoとNISA、どちらが得か? (00:04:42)

実際のシミュレーションで比較するとiDeCoの方が手元に残る金額が多くなるケースがほとんどです

前提条件
・手取り収入:30万円/月
・所得税率:10%
・住民税率:10%
・積立期間:20年
・積立金額:6万円/月
・運用利回り:年5%
・退職所得控除は退職一時金ですべて使いきる予定

iDeCoを活用した場合
月6万円を年5%で20年間運用
・iDeCo資産額:2460万円
・iDeCoを一時金で受け取る場合の税金:375万円
(退職所得控除なしの場合の課税所得1230万円での所得税:252万円 住民税:123万円)
・税金を引いたiDeCo資産額:2085万円
iDeCoには所得控除があるため、軽減された税額分をNISAで運用した場合を計算する
・軽減税額:1.2万円/月
・軽減分を年5%で20年間運用した場合の運用結果:493万円
・合計:iDeCo一時金2085万円+NISA(所得控除分)493万円=2578万円 

NISAのみを活用した場合
月6万円を年5%で20年間運用
・NISA資産額:2466万円

このように退職所得控除がゼロのケースでもiDeCoの方が112万円ほど手残りが多くなる結果(約7.8%の利益増)となりました。

中にはNISAはすでに枠を埋められるという人もおり、その場合はiDeCoと特定口座との比較になりますが、この場合でもiDeCoのほうが多くなる試算となります。

まとめ

NISAだけに頼るより税制改正後もiDeCoを活用することが賢明な選択であることがわかりました。ただ、今後税制がどう変化していくかはわかりません。更に改悪が進む可能性もあります。税制の変化に柔軟に対応し老後の資産設計を進めるためにNISAとiDeCoをうまく組み合わせることが重要です。

老後の安定した生活のために今からしっかりと準備をしていきましょう。

また、こちらの動画「《2025年度税制改正大綱解説》iDeCo拠出額62000円に増額!その一方で出口税優遇は改悪に!?」ではiDeCoを含む2025年度の税制改正について詳しく解説しています。

さらにこちらの動画「《iDeCoは必要ない?!》新NISAは投資枠が復活するからiDeCoよりお得?」ではNISAとiDeCoの違いや両方使うメリットについて紹介していますのでぜひご覧ください。