日本の経済構造の変化はあるのか

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MoneySense代表のシュウAs浅田修司です。

前回、日本の経済構造を挙げて、円高になっていく理由について
お話していきました。

自国通貨高になる要因は、お金が海外から流入してくるからで、
その理由は経済構造にあるということです。

では今回は、今後の日本の経済構造に変化は起きる可能性があるのか?についてお話していきます。

今後、日本の経済構造の変化はあるのか?

「でもこれだけの大きな災害が起こっているのに日本円を買う人が多いとはやっぱり考えにくい・・・」

そう思われる方も多いでしょうね。

たしかに日本が災害に耐え切れず、または、災害の影響で、「日本の財政が破綻するリスクが高まる」と判断されたら日本円を買おうとする人は減り、円安になっていきます。

この動きは債権国で貿易黒字の日本でも同じく起こります。原発事故が災害被害の大元なのですから、今後の日本経済がどうなるのかは誰もが相当に心配です。

日本の災害被害は確かに甚大ですが、それよりも世界的な不況のほうが範囲が広く、多くの人に影響を与えます。さらに長期間にわたって続くものなので、全世界の大きなお金が動きます。

日本には巨大な債権があり、いまのところ世界一です。その世界一は揺らぎそうにもありません。しかも輸出大国でデフレです。だから円高なのです。

日本円を売らなければならないという事態になるにはもう少し強い理由が必要です。

「もう少し強い理由」のもっとも効果的なものは債権国の存在が揺らぐというシナリオが挙げられます。

まず日本経済が落ち込んで立ち直れない状態になったとしましょう。たとえば貿易黒字が恒常的に赤字に転じるなどです。

災害の影響で、輸出が思うようにできなくなり(買ってくれる人がいなくなり)、原油高や原発停止による火力発電所の燃料になる天然ガスなどの輸入が増えて、恒常的に貿易赤字となるといった具合にです。

貿易赤字を補うには、海外からそれに見合うお金が入ってくる必要があります。いまのところ日本はその財源がありますが、なにも財源がなければ、資産の取り崩しです。

つまり、対外資産を取り崩すようになれば、(またはその可能性が現実味をおびてくれば)おのずと円安になっていくでしょう。

なぜなら、債権国+貿易黒字が債権国+貿易赤字になり最終的には、債権自体も減っていくわけですから、それでも海外の投資家が日本円を買うとは到底考えられないからです。

このシナリオは海外の投資家は当然考えていますが、いまはその時期ではないとの判断なのでしょう。この点については私も同意見です。

重要なのでもう一度書きます。

理由はなんでもいいのです。「日本の財政が破綻するリスクが高まる」と判断されたら円安になります。でも、「まだ」そう判断されていないのです。

円安を引き起こした投資収支

為替はいろいろな要因に左右されるのはご存知だと思います。

「景気(経済成長率)」や「財政状態」や「金利水準」や「経済自由度」などです。

経済構造が円高方向への力が強いといっても、ずっと円高が続くわけではありません。

実際に2005年から2007年夏にかけてずっと右肩上がりで円安が続いていました。もちろんその時代も日本は債権国で貿易黒字でした。

簡単に言えばそれを凌ぐほどの円が世界のマーケットに流れていたわけです。「円キャリートレード」です。

その頃、日本はゼロ金利政策の真っ只中であり金利はほぼ0%(0.05%程度)に近い水準で推移していました。しかし、海外に目を向けると金利5%を超える通貨が転がっています。

そこに目を付けた投資家が、日本円を売って、高金利通貨を買う取引、円キャリートレードを行ったのです。

多くのFX投資家がスワップ金利を狙って行いレバレッジが効いて多くの日本円が流れていきました。この時代はその圧倒的な資金量の流出によって円安状態が続いていました。

ただ、バブルといえる行き過ぎた取引はやがて終末を迎えます。バブルははじけて、その反動か一気に円高方向に動きました。

こういった投資資金の流れは、「投資収支」という統計で知ることができます。財務省と日銀が毎月速報値と確報値を公表しています。

2005年前後の投資収支を見てみます。

2004年の投資収支は前年までの円高を受けて日本への流入が多かった(円高要因)のですが、円キャリートレードが行われたとみられる2005年以降は

  • 2005年は13兆円の流出
  • 2006年は12兆円の流出
  • 2007年は22兆円の流出

実に47兆円もの日本円が海外に流出(円安要因)しました。

それまでの投資収支はブラスとマイナスを約2兆円から約8兆円の間で行ったり来たり推移していましたので、いままでとは明らかに違う異常な取引が行われたことがわかります。

では今は円キャリートレードは行われないのでしょうか?

現在は、世界的に景気が悪くなっているので日本との金利差がほとんどなくなり、金利差を狙う円キャリートレードの妙味は少なくなっています。

オーストラリアやニュージーランド、南アフリカなどはまだ金利が高いほうなので金利を狙っていくこともできますが、基本的には円高の方向に推移しているためどれだけ金利差で儲けたとしても、為替差損で儲けは消え去ってしまいます。なので一時期に比べれば円キャリートレードは下火になっています。

今年の災害後の影響はどうでしょうか?

この投資収支でみると昨年までは11兆円の流出(円安要因)でしたが、今年に入って5月までの速報値で2兆円の流出、このままいくと昨年の半分にも届かない勢いです。

また、災害後の4月、5月だけをみるとこれも速報値ですが、あわせて1兆円の流入(円高要因)になっています。投資収支に関して言えば今回の震災でショックを受けた日本の投資家が海外への投資をさらに差し控えたことによりさらに円高方向へ動かしているといえます。

今の日本の投資環境は冷え込んでいます。

このような

  • 日本の経済構造
  • 投資家感情の冷え込み

が今の日本の円高の主な原因です。

最初にも言ったとおり、他にも原因はありますが、それはどちらかといえば支流であり本流ではありません。

ではこれを踏まえたうえで考えてみたいのですが

もっと簡単にわかる方法はないのか?

よくある質問ということで、今回の一連のニュースレターでは日本円の円高のみにクローズアップして、現象面から事例を加えてできるだけわかりやすく説明してみました。でも、もっと簡単にわかる方法はないのでしょうか?

答えは「あります」。

日本の経済構造とその行き先やアメリカやEU、中国などの思惑や日本との関係性も簡単に単純に読み解く方法があります。

新聞などには書かれておらず、かつ、絶対的な経済合理性から説明でき、現在の経済学者も注目している見方です。もちろん私も日ごろから注目しています。

キーワードは「国際収支」。

今回あげた投資収支もこの中のひとつです。財務省と日銀が発表している統計で誰でもご覧になれます。

が、多分訓練してないとチンプンカンプンです(汗)数字の羅列ですし、聞いたこともない言葉がずらり並んでいます。しかし、ちゃんと読み解けば日本の現在、そして生きる道が書かれています。

これをわかりやすくデフォルメ化したら、あなたにもその国の基本構造が見えるのでは?と考えています。

まったく知識がなかったとしても簡単な基礎を理解できればだれでも読み解くことはできます。

機会がいただければ、データの取り方から基本的な見方、さらには統計では隠れた数字の見方などもお話したいです。

  • 日本と中国は今後どうなるの?
  • アメリカは大丈夫?
  • ギリシャ問題もあるEUの影響は?

などなど、時事についてよくご要望いただきますが、これらについてもこの方法で読み解けます。セミナーなどでお話できればと思います。

そして、基礎がわかると私がMoneySenseでさんざん言っている、

  • 日本人の個人投資家は海外投資をしろ、
  • 為替介入でも円の増刷でもなんでもして円安誘導、リフレをしろ、
  • 政官民一体となって日本のインフラを輸出しろ、

といっている理由がわかります。

この方法からみたら、どう見たってこれしか日本の生きる道がないのです。

さらに言うと、巷でいわれている日本沈没のシナリオも見えます。不安をあおっている彼らがどんなシナリオを書いているのかも見え、いまからあせってすぐに行動する必要がないことがわかります。

また、こうなったら本気でヤバイということもわかりますから、そのときに冷静にすみやかに行動すればいいのです。

本気でヤバイ状態になると、どうなるのかも見えてきます。そのためにいまから準備しておくことが必要なのですが、それがまさに「海外投資」なのです。これについては次回以降お話していきますね。

地震のときもそう。なにも行動しないか、パニックになった人が避難できずに命を落としてしまいます。

事前の準備を万端に。そのときになれば冷静に、すみやかに行動、です。

長くなりましたので、今回はココまで。

次回は、おそらくあなたにとっての核心(汗)

私たちはどういった行動を取ればいいのか?

についてお話します。

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