年金は税金でまかなう必要があるの?

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MoneySense代表のシュウAs浅田修司です。

お盆が明けて、天気が不安定ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。広島の災害はこころが痛みます。
2週間ほど間が空きましたが、ニュースレターをお送りします。

さて、「年金年間」パート2としてお話を進めています。

この年金財政検証のニュースレターは、
大きく4つに分けて話を進めていきます。

  1. 過去の年金財政のおさらい
    1. 積立方式から賦課方式への転換
    2. マクロ経済スライドの導入
    3. 年金保険料の見直し
    4. 国庫負担分の増額 ←イマココ
  2. 将来の年金財政はどうなっていくのか
  3. 年金財政検証から見える政府の思惑
  4. 私たち個人投資家はどのような行動をしていったらよいのか

今回もひきつづき、1.過去の年金財政のおさらい(その5)としてお話していきます。

1.過去の年金財政のおさらい(5)

まずは、前回までのおさらいから始めていきましょう。

2004年の年金財政検証で、このままでは【年金財政が破綻してしまうことが確認】されました。

そこで、政府は大きく4点について改革を行うことを決めました。

  1. 積立方式から賦課方式への転換
  2. マクロ経済スライドの導入
  3. 年金保険料の見直し
  4. 国庫負担分の増額

簡単にいえば

  • 年金は守ろう!!・・・1
  • 支出を減らそう!・・・2
  • 収入を増やそう!・・・3~4

です。

前回は、年金保険料の見直し=増額について過去の金額(料率)の推移を挙げながら説明していきました。

すでにこれ以上の増額は難しく、今後、年金給付が難しくなる場合、年金制度そのものの存続を考えなくてはいけないようになってきていることをご説明しました。

前回、詳しい数字は挙げませんでしたが、2004年の年金財政検証ではそれまでの年金給付水準を維持するためには、国民年金保険料は29500円必要とされ、厚生年金保険料は25.9%必要と試算されました。

しかし、そこまで増額するのは困難なので、最終的な保険料負担を引き下げて、国民年金保険料は16900円まで増額し、厚生年金保険料は18.3%まで増額することに決めました。足りない分はその範囲内で年金給付を行うことにしました。

しかし、増額は順調に行われていましたが、給付削減は行われていないどころか年金の払いすぎが起こっていたことを前回お話ししましたね。

今回は、「収入を増やそう!」の「4.国庫負担分の増額」についてです。

4.国庫負担分の増額

国庫負担分も年々増額されています。

2004年までは基礎年金の支払額の内、1/3を負担することになっていましたが、2004年の年金財政検証で破綻してしまうことがわかってしまったので、国庫負担分も増額しないと持たないということで、増額が決定されました。

○国庫負担割合

2004年度 33.3%+272億円
2005年度 35.1%
2006年度 35.8%
2007年度 36.5%
2008年度 36.5%
2009年度以降 50.0%

2009年度からは13.5%の負担割合が増額することから、恒久的な財源が必要になりました。

みなさんがご存知のように今年の消費税増税がその財源となります。2009年から2014年までの財源は以下のとおりです。

○財源

2009年度 財政投融資特別会計の剰余金
2010年度 財政投融資特別会計の剰余金
2011年度 鉄道機構、財投特会、外為特会の利益剰余金 ※1
2012年度 年金交付国債→年金特例国債(つなぎ国債) ※2
2013年度 年金特例国債(つなぎ国債)
2014年度 消費税増税+3%

※1
当初、剰余金で賄うことになっていたが、東日本大震災が発生したため、これらは震災復興費に充てられた。その後、復興債を発行して、震災復興費に充てた分を年金財源に繰り入れた。

※2
当初、年金交付国債は償還される予定だったが、2013年に償還規定を削除し、消費税増税により得られる収入を償還財源とする「年金特例公債 (つなぎ国債)」に修正された。

上記の内、剰余金というのは、余りであったり利益が残っていたものを充てたものなので、いわば家計のやりくりですから、返済の必要のないお金です。「埋蔵金」と呼ばれたのは記憶に新しいですね。

しかし、その埋蔵金も底をつき(というか思ったほどなかったので)つなぎ国債で充てた2012年度と2013年度のお金は、将来上げる消費税増税分で返済するとしました。つまり前借りです。
1年分で約2.6兆円、2年分なので約5.2兆円あります。

さらに、ここには挙がっていませんが、いままでに本来年金の国庫負担分として拠出しなければならなかったのに、国家予算が無くて拠出できなかったツケが約3兆円残っています。つまり政府は年金から約8兆円を前借りしていることになります。これらは、消費税増税されて増収になった5.1兆円のうち、約1.5兆円ずつ返済していくことになっています。

すでに待ったなしの状態です。この切羽詰まった感じが伝わるでしょうか。

現在、国庫負担割合は1/2となりました。もうこれ以上の負担割合の増額はほぼ見込めません。

もちろん、財源を増やせば1/2以上の負担をすることは可能でしょう。しかし、もし50%上回る国庫負担額が基礎年金に必要となると、もはや「保険料方式」とは呼べず「税方式」にほかなりません。つまり、国民年金は税金から支払われているという認識が強くなります。

そうなると、たとえば税金を負担しているのに年金がもらえない人は不公平感が増してしまいます。そもそも1/2を税金で負担している時点で半分「税方式」になっているといえます。すでに多すぎるぐらいなのです。

残された道は、給付を削減するしかありません。それも来年以降待ったなしで行われる予定です。

前回の3.年金保険料の見直しでもお話したように、これ以上「収入を増やそう!」を続けると、現在の年金制度そのものの存続を考えなおさなければなりません。

はじめて「保険料方式」「税方式」という言葉が出ましたが、この方式の違いや、それぞれのメリット、デメリットは、これからの年金制度を考える上で示唆に富んだものになっています。

給付を削減するのは、足りないのですから理由がどうであれ、どうにかして下げなければなりませんが、収入を考えるのは、年金制度に直接関わりますので、そもそも年金って何だ!?というところに行き着くわけです。

この方式の違いや、根本的に語られている年金制度自体についてはみなさんが将来の年金像を考える上で重要だと思いますので、後に項をわけてお話しようと思います。

長くなりましたので、今日はこのへんで。

質問や感想などありましたらお気軽にこのメールに返信してください。
ひとことでも頂ければ励みになります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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