年金は本当に要るの?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

MoneySense代表のシュウAs浅田修司です。

はじめてのキャッシュフローゲーム会やMoney Sense Collegeにはお金の勉強を始めたい方、投資をはじめたい方が来られます。あなたもご縁があって来られた方だと思います。

そして、その動機の第1位が、老後のため、将来のためです。ならば、公的年金について知っておくことは、決して損ではありません。

一回読んでもわからないかもしれません。むずかしいと感じるかもしれませんが、3回読んでいただければほとんどの方が理解できるはずです。「3回繰り返す」は、なにを習得するときでもおすすめします。

さて、「年金年間」パート2としてお話を進めています。

おそらく今回が一番の難関ではないかと思っています。今回を超えれることができれば、あとはラクなんじゃないかと。

この年金財政検証のニュースレターは、大きく4つに分けて話を進めていきます。

  1. 過去の年金財政のおさらい
    1. 積立方式から賦課方式への転換
    2. マクロ経済スライドの導入
    3. 年金保険料の見直し ←イマココ
    4. 国庫負担分の増額
  2. 将来の年金財政はどうなっていくのか
  3. 年金財政検証から見える政府の思惑
  4. 私たち個人投資家はどのような行動をしていったらよいのか

今回もひきつづき、1.過去の年金財政のおさらい(その4)としてお話していきます。

1.過去の年金財政のおさらい(4)

まずは、前回までのおさらいから始めていきましょう。

2004年の年金財政検証で、このままでは【年金財政が破綻してしまうことが確認】されました。

そこで、政府は大きく4点について改革を行うことを決めました。

  1. 積立方式から賦課方式への転換
  2. マクロ経済スライドの導入
  3. 年金保険料の見直し
  4. 国庫負担分の増額

簡単にいえば

  • 年金は守ろう!!・・・1
  • 支出を減らそう!・・・2
  • 収入を増やそう!・・・3~4

です。

前回は、年金を理解するための最難関である「マクロ経済スライド」についてお話しました。

「マクロ経済スライド」=「人口スライド」

とわかりやすいように言い換えました。その仕組についてもお話しました。

年金財政を支えるために、賦課方式に変更して、

「【収入】<【支出】」を
「【収入】=【支出】」になるように

2004年から収入と支出のバランスを取っていくことを決めました。

それがまさに

  • 年金は守ろう!!
  • 支出を減らそう!
  • 収入を増やそう!

です。

「平均所得」×「保険料率」×「現役世代の人口」×2=「年金額」×「年金受給者の人口」

の式から

左辺を上げる=現役世代の負担
右辺を下げる=年金世代の負担

という構図になることもお話しましたね。

しかし、いままでは、収入の保険料の増額だけが行われてきており、現役世代ばかりが負担を強いられてきました。これについては今回お話します。

一方、年金世代の年金額の減額は物価スライドの「ツケ」ために法律制定から10年以上も経った今でもまだ行えていません。物価スライドの「ツケ」であるデフレ時の凍結が原因で、年金額の減額どころか「年金の払いすぎ」が起こっているのです。

法律で、「年金の払い過ぎ」の間は「マクロ経済スライド」は適用しない条件になっています。

なので、物価スライドを正常に戻すための最後の調整になる来年4月の0.5%の減額はほぼ確実に行われます。マクロ経済スライドを早くに発動させたいのです。

もちろん発動させないと年金財政が破綻してしまうのは大きな理由ですが、早くしなければならない理由が数字からも読み取れます。

それを見るためにも、今回のお話に入る前に、「マクロ経済スライド」のおさらいも兼ねて、検証をしてみたいと思います。

政府は、現役世代と年金世代の相対的な収入の目安として「所得代替率」を使うことにしました。

「マクロ経済スライド」を使うことで年金額を下げていくことができます。

そうすると結果的に今より将来の「所得代替率」は下がっていきます。

政府は、2004年当初の59.3%から50.2%まで下げることを決定しました。

2004年から5年毎に年金財政検証が行われてきましたが、その間の「所得代替率」はどうなっていたのでしょうか見てみましょう。

2004年度では
「現役世代の平均所得」39.3万円
「年金世代の年金給付」23.3万円
「所得代替率」59.3%
でした。

2009年度では
「現役世代の平均所得」35.8万円
「年金世代の年金給付」22.3万円
「所得代替率」62.3%
でした。

2014年度では
「現役世代の平均所得」34.8万円
「年金世代の年金給付」21.8万円
「所得代替率」62.7%
でした。

みごとに「所得代替率」が下がっていま・・・あれれ???下げていくどころか、上がっていますね!

これは現役世代と年金世代の収入を比較すると、相対的に年金世代の方が増えていることを示しています。
これにはいくつか理由があります。

まずは物価スライドのマイナス部分の凍結です。高齢者の反発を恐れた政府は大盤振る舞いをして年金受給者を優遇したのです。若者は選挙に行かないけれど、高齢者は選挙に行くから高齢者の票が欲しかったのです。物価スライドを正常に戻すのも本来2013年4月からの予定でしたが、夏に参議院選挙が控えていたので、終わってからの10月に変更したくらいですから。

2つ目にはもちろん「マクロ経済スライド」がいままで発動してこなかったためです。

そろそろ現役世代も堪忍袋の緒が切れる状態でしょう。

確かに年金世代は経済的弱者かもしれません。支えていかなければならないかもしれません。

しかし、それによって自分たちの生活が破綻、もしくは、自分たちの老後が破綻してしまうのであれば、年金制度は要らない、だから、保険料も払わない、と言われかねません。いや、国民年金の納付率を見れば、すでに言われ始めているのかもしれませんね。。。

ですから、物価スライドを正常に戻すための来年4月の0.5%の減額は、ほぼ確実に行われます。

また、政府が早くにマクロ経済スライドを発動させたい理由がおわかりになったでしょうか。

さて、今回は「収入を増やそう!」の「3.年金保険料の見直し」についてです。

3.年金保険料の見直し

見直しとありますが当然のように増額となります。これまで現役世代の保険料は上がってきたとだけお伝えしてきましたが、その変遷についてお話します。

今回は、サラリと行きましょう。

増額幅についてもいろいろ語れますが、今回のテーマには必要ない知識なので割愛します。

ここでは、2004年に決まった年金保険料増額の仕組みについて簡単にお話しておきます。

まず、国民年金保険料から。

2004年の国民年金保険料は毎月13,300円でした。

2005年から毎年280円ずつ増額していき、
2017年には毎月16,900円にすることが決まっています。

開始年月 保険料 保険料改定率適用後
2004年4月~ 13,300円 [13,300円]
2005年4月~ 13,580円 [13,580円]
2006年4月~ 13,860円 [13,860円]
2007年4月~ 14,140円 [14,100円]
2008年4月~ 14,420円 [14,410円]
2009年4月~ 14,700円 [14,660円]
2010年4月~ 14,980円 [15,100円]
2011年4月~ 15,260円 [15,020円]
2012年4月~ 15,540円 [14,980円]
2013年4月~ 15,820円 [15,040円]
2014年4月~ 16,100円 [15,250円]
2015年4月~ 16,380円
2016年4月~ 16,660円
2017年4月~ 16,900円

実際に支払う保険料は、保険料改定率というものをかけて計算します。それは一番右の[]の中の数字です。

物価や賃金の伸びに合わせて調整する仕組みがあるためです。そういう仕組みがあることだけ知っておけばいいでしょう。

と、保険料改定率については今回はばっさりカットしますが、国民年金の【第1号被保険者(無職・自営業など)】の方で、【2年前納】を使おうとしている方だけは、ご自分でお調べください。これを知らないと、2年前納の損得に影響しますので。

話がそれてしまいますが・・・あーイケナイ癖が・・・

それにしても、2年前納なんてこんな面倒くさい制度を作るんでしょうね・・・なんとしてでも納付率を上げたいのでしょう。政府の必死さが伺えます。こんな2年前納なんて作っても、いっこうに納付率は上がらないと思うんですけどね。

そもそも、滞納している人は、大きく2つの理由しかありません。

  1. 破綻する年金に保険料を支払いたくない
  2. 保険料を払おうとしても収入が少なくて払えない

のどちらかです。

この2つをどうにかしない限り、納付率なんて上がりません。

60%を切って59%になったといわれる納付率だって作為的な数字です。この数字はあくまで第1号被保険者(無職・自営業など)の中での話。

国民年金には、その他に

  • 厚生年金加入者の第2号被保険者
  • 公務員などの共済組合の組合員
  • サラリーマンの夫・妻の第3号被保険者

が加入しています。これらをを含めた全体の納付率はいまでも95%以上です。納付率が低下しているので、強制的に徴収することに大義名分がほしいのです。

しかし、上に挙げた2つの理由で支払っていない方は、つまりは社会的弱者ですよね。。。私たちに忍び寄る経済格差の影に、政府も手を貸しています。なにも知らない、知ろうとしていない方への情報操作としか思えないですね。

また、この59%の計算中には、保険料の免除者・猶予者の方は「除かれています」。つまり、上に上げた大きく2つの理由のうち、2.保険料を払おうとしても収入が少なくて払えないの方は最初から分母に入っていないことになります。

手続きしてない方も若干おられるかもしれませんが、日本年金機構に変わってから、電話連絡等もしていて、免除申請の案内もしているようですから誤差の範囲と思います。

ということは、自主的に払わなければいけない国民年金の第1号被保険者の方のうち経済的弱者の方を除いた、国民年金保険料が「支払える」方の41%の人が、

1.破綻する年金に保険料を支払いたくない

と言っていることになります。

私には、国民の内、現役世代の41%の方が、「年金は要らない」と聞こえるのです。

支払いたくない方で、たまたま制度上免除者・猶予者になっている方もおられるでしょう。さらに言えば、サラリーマンの夫・妻のような保険料を支払う必要のない第3号被保険者もカウントされていません。実数としては、41%より多いのではないかとまで思います。

これが過半数になったら政府はどう説明するんでしょうか。

しかし政府の言い分である、「老後に収入がないと生活が破綻してしまいますよ」ということだけは正しいですね。その収入が国民年金である必要はありませんが。

話がそれてしまいました。

事、年金については、政府やそれを支持してきた年配者にどうしても厳しくなってしまいます。いかんいかん。

次に、厚生年金ですが、こちらも順調に増額されています。

開始年月 保険料率 摘要
1996年10月~ 17.35%
2000年10月~ 17.35% 標準報酬月額の上下限を増額
2003年4月~ 13.58% 総報酬制に移行、2017年に18.3%まで毎年0.354%引き上げ
2004年10月分~ 13.93%
2005年9月分~ 14.29%
2006年9月分~ 14.64%
2007年9月分~ 15.00%
2008年9月分~ 15.35%
2009年9月分~ 15.70%
2010年9月分~ 16.06%
2011年9月分~ 16.41%
2012年9月分~ 16.77%
2013年9月分~ 17.12%
2014年9月分~ 17.47%
2015年9月分~ 17.83%
2016年9月分~ 18.18%
2017年9月分~ 18.30%

2003年には、ボーナスにも一律保険料が課せられて、総報酬制になりました。総報酬制なので保険料率もそれに合わせて下げられましたが、今年9月時点では、総報酬制前の保険料率よりも上がってしまっています。

国民年金、厚生年金の2つの保険料について見てきました。

インフレ率による国民年金の名目保険料が上がる以外は、以前からお話しているように、もうこれ以上、保険料の増額は出来ないでしょう。

もし、それが必要なときは、年金制度自体を存続させる必要があるのかどうかが議論されることになると思います。

長くなりましたので、今日はこのへんで。

質問や感想などありましたらお気軽にこのメールに返信してください。
ひとことでも頂ければ励みになります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

無料講座:確定拠出年金のメリット・デメリット

確定拠出年金について

「どんな制度なの?」
「なにがいいの?」
「どうやって使えばいいの?」

と思っていませんか?

この無料講座では

  • やらないと絶対に損をする確定拠出年金のカラクリ
  • 確定拠出年金の3つの優遇制度
  • 金融機関とファンドの選び方

など、確定拠出年金の制度の仕組みとメリット・デメリット、そして活用方法まで全7回の動画で詳細に解説しています。


無料講座を受講する